15年第4回定例会での一般質問

質問ができるまではこちらから

 



“子どもにつけをまわさない”とのバッチを着けて

一般質問と答弁の全文

税金の使い道を明らかにせよ!子どもにつけをまわすな!
 ◆行政評価制度の本格実施にあたって
  ▼行政評価制度導入の目的と基本的な考え方
  ▼どういう評価制度となるのか、その特徴と活用方法は
  ▼提案として成果報告書を作成すべきでは

 平成15年第4回定例会にあたり公明党議員団の一員として一般質問させていただきます。

 税金の使い道を明らかにせよ!との国民の税金に対する関心はますます高まってきています。この25日に、東京都の行った「都民生活に関する世論調査」の結果が発表されましたが、その中で税金への関心度とその内容を聞いています。関心があると答えた人の割合は昨年同様84%にも上っていました。またその関心の内容は(こちらは複数回答ですが)税金の使われ方がトップで75.1%、次が自分の納める税金で48.9%という結果でした。いかに税金の使い道に都民の関心が高いかがこの結果からもわかります。

 17世紀のイギリスの哲学者トーマス・ホッブスの小説に「リバイアサン」がありますが、社会契約により成立する国家を海底に住む巨大な怪獣リバイアサンに例えて展開していくものです。このリバイアサンをコントロールする必要があると主張しているのが、公認会計士で「公会計の理論」や「住民のための自治体バランスシート」という本を書かれた吉田寛氏です。本の中でこう述べています。「非効率で肥大化した政府は『リバイアサン』と呼ばれ、そのリバイアサンは主権者の税により命を繋いでいる。このリバイアサンをコントロールするためには二つのことが必要であり、一つは主権者の判断がリバイアサンに反映させるための民主主義である。そしてもう一つは主権者が合理的な意思決定を行うためのわかりやすい情報である」と。まさにその通りだと思います。主権者のためのわかりやすい情報の提供は最重要の課題であります。

 先日、私はその吉田氏を訪ねお会いすることができました。吉田氏は「子どもにつけをまわさないとの決意をみんなが持つことが必要だ。税金の無駄使いはやめ、公正で透明な税金の使い方をして、将来の税金負担を無くすべきだ」と熱く語ってくれました。私は、そのためには何が必要ですか、と尋ねると「それは行政の行ったサービスの成果を簡潔で、できるだけわかりやすく納税者である区民の皆様に伝えることです」と。その点において、千代田区は今まで情報の提供については区民の皆様にわかりやすくそして読みやすいものをと工夫がなされてきたと思います。今年度作成された区民にわかりやすい予算書を始め、各種計画書などは利用される区民の立場、また参加される区民の立場にたって読みやすいものとなっています。

 私は、子どもにつけをまわさない、つまり税金の無駄使いをなくすとの決意のもと、今年度から本格実施となる行政評価制度について質問をさせていただきます。
 予算決算における改革の経過の中で、評価制度はどういう位置づけになるのかを私なりに示した上で、評価制度導入の目的と基本的な考え方、そしてどういう評価制度になるのか、その特徴と活用の方法を提案も含めて問いたいと思います。

 地方自治法の第216条には例の白表紙の予算書・決算書の記入の方法について規定しています。「歳入歳出予算は歳入にあってはその性質に従って款に大別し、かつ各款中においてはこれを項に区分し、歳出にあってはその目的に従ってこれを款項に区分しなければならない」となっています。目を加えた予算の説明書や決算の参考書も当然連動していますので同じ形式をとります。よって予算においては各事業の予定されている歳入と歳出の金額が別々のページに記入されることになります。予算を編成する際に検討されてきた税金の使途がどのような成果をもたらしたのかについての説明がきわめてわかりづらいものになっています。さらに歳入と歳出が分割されて予算書に掲載されるために事業ごとに発生するコストとその負担がどのようになっているのかについての記載も分断されてしまっています。この法律は昭和38年から今日まで改定されることなく続いていますが、これでは納税者の皆さん、区民の皆さんに税金 の使い道である予算決算を説明することはもはや困難であります。

 住民への公表についても地方自治法243条の3には「財政状況の公表等」として定めています。「地方公共団体の長は条例の定めるところにより、毎年2回以上歳入歳出予算の執行状況を住民に公表しなければならない」となっています。あくまで予算の執行の状況であり予算の成果の状況とはなっていません。条例の定めるところとは区の条例の「財政事情の作成及び公表に関する条例」を言いますが、ここでも財政事情とは先ほどの自治法の243条の規定に順ずるとなっていますので同じであります。

 そこで各自治体は予算については独自に様々な工夫を凝らし納税者である住民の皆様にわかりやすく、「予算の概要」などを作成しています。千代田区では先ほど述べましたように今年度から、わかりやすい予算書を作成しました。欲を言えば私は今のものに事業ごとに発生するコストとその負担がどうなっているのかも記載していただければより親切でわかりやすくなると思います。一方決算の方は議会へ提出が義務づけられている「主要施策の成果」について各自治体とも毎年工夫、改良を加えてきました。
 今や拡大・成長から成熟・低成長の時代になり社会はその仕組みやルールが劇的に変わってきています。そのような中、区民・納税者の皆様への行政の情報の提供のあり方や説明の方法については最大の工夫がなされて当然かと思います。特に行政が行ったサービスについてその成果をコストとともに区民・納税者の皆様にできるだけ簡潔にわかりやすく説明することは首長の重要な責務であります。例えば平成8年に三重県の北川前知事が行った事務事業評価制度などはその最初ではないでしょうか。それはまた自治体全体の改革のツールとしても大変有効でありました。どういう評価制度かは 自治体により異なりますが、全国にその流れが広がったことは言うまでもありません。

 海外の事例になって恐縮ですが、自治体の改革ということでは、イギリスのブレア首相が1997年に就任して直ぐ示した自治体改革白書があります。ブレア首相といえばもうマニフェストと有名になりましたが、イギリスの地方自治体の改善と近代化のための戦略を示したと言われるこの白書にも注目すべきと思います。題名は「現代地方政府‐住民と共に」となっています。そこには
「自治体の改革は、品質の高い行政サービスを人々に供給するためにある。地方自治体を近代化する我々の課題は、ビジョンと指導力を持って身近なところで様々な課題に対処できることが重要である。我々の目的達成へ貢献し行政の品質を高めるために、他の自治体、民間、市民とのパートナーシップ(協働)を進めなければならない」とし、
「大切なことは地方自治体の文化の『基本的なシフト』が不可欠である。そして地方自治体は『外の変化に敏感』であらねばならない。これにより、地方自治体がいたるところで人々の幸福に、人々の権利に貢献させるだろう。」と謳っています。そしてこの白書には四つのキーワードが出てきます。それは、
@権限委譲
Aパートナーシップ(協働)
B組織文化のシフト
Cベスト・バリュー
の4点です。この中のベスト・バリューは「政策形成ツール」としての行政評価であります。その先進性は政策をゼロから発想していくこと。高い政策の理念(ビジョン)を掲げ品質を測定する。既成の発想にとらわれず、住民に焦点をあてて政策を再構築する。現状の分析、課題の抽出、解決の方向の検討、政策の立案そして評価し結果をフィードバックする一連の作業を通して、住民が求める価値は何か、最高の品質とは何か。ベスト・バリューはそれを問い直す作業といえます。いわゆるマネジメントサイクルです。そしてその特徴として3点、
@計画との一体性
A市民へのわかりやすさ
Bプロセスへの参加と連携
であるとします。以上が、ブレア首相が国民に示した自治体改革白書の内容であります。まことに共感の得られるものでまさに自治体改革の方途が具体的に示されたと言っても良いと思います。

 さて、石川区長は平成13年第1回定例会の招集挨拶の中で五つの区政運営の基本方針を示されました。その中の3点目には「経営感覚あふれる区政」としてまず税金の使い方に対する行政の責務を述べて、その実現のためには時代の変化を的確にとらえ、地方分権にふさわしい新しいシステムを発進する、と。さらに5番目の「挑戦、変革、創造の区政」のところでは前例踏襲主義や縦割りによるバラバラなサービス提供を例に古い習慣にとらわれてはいけない、そしてこれまでの殻を脱ぎ捨て新しいものへの挑戦を訴えられ区政の運営方針とされました。

 またその年の8月には千代田区財政白書を発表し、区として改革のシステム構築のための方途を具体的に示しました。そこには区民のみなさまへの説明責任を果たすのだとの決意があふれています。その内容は、先ほどのブレア首相の改革白書風の表現を使えば「古い組織文化のシフト」をまず述べています。例えば「予算消化」、予算は使い切るのが良いという悪しき慣習から脱しとあり、「前例踏襲」と「お役所仕事」は過去の遺物とする決意で取り組まねばならない、としています。次に最小の経費で最大の効果をあげるためにマネジメントサイクルいわゆるPDCAを確立しますと宣言しています。計画立案P−事業執行D−検証・評価C−見直しAのサイクル(システム)を通じて事業の目的に対する成果を計り、予算にフィードバックしていくものです。私は自治体の「文化のシフト」や「外の変化へ敏感であること」からこのサイクルにいたるまでの一連の流れ全体を指して改革を目的とする行政評価システムであると思います。白書で提案された具体的な改革の方途のうち今日までに実現したものは、バランスシートと全事務事業のコスト一覧の作成、中期財政計画の策定、財政運営ガイドラインの制定、わかりやすい予算書の作成などであります。そしていよいよ本年度より行政評価制度も本格実施となります。

 先日、9月のことですが地域での「行政評価制度のあらましについて」と題した出前講座「ほりばた塾」に私も参加しました。内容は「成果型の区政運営を目指して」として担当課長がわかりやすく説明をされていました。最初はちょっと難しい題で皆さんどう思われるかと不安もありましたが、質問も活発に行われ、「参加して本当に良かった」と好評でした。課長は、皆様からご要望があればどこへでも参ります、と言っておりましたが、このように行政評価について区民のみなさまといっしょになって考えていくことはとても意味があることだと思います。

 以上、主に予算決算の面での改革の経過と今回の行政評価制度の位置づけについて2つの白書を参考にして私の意見も交えて述べさせていただきました。
 行政評価制度はまさに自治体改革のためのツールでもあり、また政策形成のためでもあり、そして税金の使い道を明らかにし、成果を納税者の皆様に説明するためのものでもあると私は考えます。
そこで今回の行政評価制度についてその導入の目的と基本的な考え方について改めてお伺いいたします。そしてどういう評価制度になるのか、その特徴と活用方法についてもお伺いします。

 最後に活用方法について一つ提案があります。行政評価と会計情報は互いに連携しています。行政評価には、繰り返しにもなりますが、責任の所在、コストの把握が不可欠だからです。平成9年に日本公認会計士協会より公会計原則試案が発表されました。それは「成果報告書」を公会計の基本財務諸表に加えるとするものです。この成果報告書とは行政サービスの成果の説明とともにその実現のために要した費用の内訳、例えば人件費や事業運営費などです。そして利用者負担や補助金などの財源の内訳を示し、結果、納税者の負担まで明らかにしていこうとするものです。成果報告書とバランスシートの関係を例えて言いますと、"子どもにつけをまわさない"を目標地とすれば、現在どの辺にいるのかを示したのがバランスシートで目標地までどのように進んでいくのかを示したのが成果報告書となります。日本では福岡県福間町が平成12年度から吉田寛氏のアドバイスを得て既に作成しています。兵庫県川西市なども成果とコストを同時に掲載した決算成果報告書を作成しています。

 区としては平成12年度の決算分からバランスシートと全事務事業のコスト一覧を作成し公表しています。そこで提案ですが、主要施策については成果報告書を作成してはどうでしょうか。成果の説明はすでに行っていますので、あと費用と財源の内訳を同時に掲載する必要がありますが、それは事務事業コスト一覧から持ってきて並び方を変えるだけで直ぐにもできると思います。それはそのまま決算のときに必要な「主要施策の成果」となるわけです。さらにそこまで記載された「主要施策の成果」は住民、納税者に「わかりやすい決算書」としても活用できると思いますが、いかがでしょうか。主権者である区民の皆様が合理的な意思決定を行うためにわかりやすい情報となることは間違いありません。ご所見をお伺いします。

 以上、行政評価制度の本格実施にあたって提案も含めて質問をさせていただきました。
みんなが責任から逃げられる仕組みを中央集権と言い、責任を明確にすることが地方分権だ、とは前三重県知事の北川氏の言葉であります。分権改革をリードする区政を目指す千代田区として、前向きで積極的な答弁を期待し私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。

以下答弁

区長答弁

 大串議員の行政評価制度導入の基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。

 お話の考え方は、基本的に認識は一致していると思います。
 今、地方分権が叫ばれております。私は、地方分権というよりも地方主権だと思っております。
 国民の納めた税金がどういう形になっているのかと申しますと、6割を国が集めて、4割が地方であります。実際に予算という形で見ますと、それは逆になっておりまして地方が6で国が4でございます。 ほとんどは補助金という形でそういうことが逆転しております。しかし、実際に仕事をするというのは地方でございますから、仕事ベースで見ますと実際に税金を使っているのは地方が7、国が3、あるいは8対2くらいになるかもわかりません。多分、これから地方分権が進むとそのことがますます鮮明になってくる時代になると思います。そのためには、税金の使い方というのはきちんと鮮明にならなければいけない。これを役所流の言葉で言えば負担と受益というものをきちんと明確にしていくということで、これからの分権の中身をつくっていく上ではとても重要なことだろうと思います。

 そういう認識に立ちまして、就任以来いろいろと申し上げてきたわけでございますが、お話のように、現在、行政評価という仕組みを入れておりますが、内容的には事務事業の評価と組織経営評価であります。事務事業評価については、既に評価の内容が出ておりますが、組織経営評価というのは、横文字でいいますとバランス・スコアカードといことになっています。バランス・スコアカードというのはかなり民間で導入されておりますことはご案内で、その目的とねらいはお客様満足度、あるいは人材育成という観点で経営の価値を高めていく、どちらかというと民間企業は利益というのが中心でありますが、これからの企業経営というのは、単にそうした利益というのではなくて民間も社会的な存在という意味付けを持って、質的な側面、特に人材の養成とか、そういうことでバランス・スコアカードというのは導入されております。したがいまして、私の方もそうした観点でバランス。スコアカードというものを導入しているわけでございます。

 勿論、この2つの行政評価の仕組みというものは、区民の皆様方にとってわかりやすくというのが当然でございますが、何せ初めて導入をしたものでございますので、必ずしも十分なものでないということは私も認識をしているところでございます。この2つの目的は、やはり達成状況を評価するということでございますので、お話のようにいわゆるPDCAサイクルというものを構築するわけでございます。いわゆるPDCAというのは、評価の結果を予算や計画に反映し最終的には職員の意識改革というものにつなげていくというねらいもございまして、お話のように政策のツールとして十分に機能させていくことが肝要だろうと思います。こうした結果については、できるだけわかりやすくというのはこれは当然のことでございまして、これからも鋭意そうした努力をしていきたいと思います。
 それからもう一つ、おそらくこれからの地方自治体に求められることは、自治体のいわゆる評価、市場評価というものが必ず求められてきます。企業でも社債を起こすときに会社の経営陣も含めて財務状況の評価というのが求められているわけでございます。おそらく自治体もそういう意味ではマクロ的には自治体自信の市場での評価というのがかなりこれから進んでくるだろうということを考えますと、こうした行政評価システムといいうのは、さらにいろいろな観点から工夫をしていくということは当然必要になってくると思っております。

 約3年間、そうした観点でいろいろ区政の中身をつまびらかにしていくという形で努力をしてまいりまして、お話のようにコスト一覧等もつくりましたし、今年度の公表にあたりましては、原価償却という仕組みも導入してコスト一覧を出したわけでございます。これも税金というものがどう使われているかということを、一つひとつ区民の皆様方に明らかにして、そうして評価をしていただきたいという思いでございます。
 したがいまして、今後、主要成果、今年度は大分、決算の主要成果については改善をいたしましたが、お話のように成果報告書的なことも、事項によっては盛り込めるものについては、そうしたことも来年度については準備してまいりたいと思います。これもどういうふうにお金が使われているか、人件費がどうなっているのか、運営費がどうなっているのかということを鮮明にしていく、こういうことをきちんと明らかにして、区民の皆様方が一つひとつの事業について、区民の目線でもって評価をしていただきたいという観点でございますので、今後、お話の点も十分に踏まえてこうした行政評価システムをさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。
 詳細につきましては、関係の理事者をもってご答弁いたさせますので、よろしくお願いいたします。

政策担当部長答弁
行政評価制度の特徴とその活用法について

 本区が実施しております行政評価制度につきましてその特徴と活用方法についてお答え申し上げす 。
 まず各予算事業についての事務事業評価についてでございますが、昨年度の試行結果をもとに今回は1事業1枚の用紙を用いる簡便な方法で評価を実施しております。各事業の成果指標に対する達成度と要した費用に対する単位当たりのコストを天気マークを使いまして評価し、それを基本に事業全体を5分類で総合的に評価するという方法でございます。
 次に活用方法についてでございますが、評価結果は区民の皆様に公表し、ご意見を求めるとともに、庁内では評価の改善等の方向につきましては、16年度の予算編成で検討するほか、検討に時間を要するものにつきましては、推進プログラムの改定等の中で整理してまいります。

 一方、組織経営評価、いわゆるバランス・スコアカードは、事業部制による成果指標の目標管理の仕組みとして導入し、本年度は下半期を対象に実施しているところでございます。顧客、財務など4つの視点から各事業部が組織目標を区長との約束のもとに設定し、達成実績を年度末に点数で評価するというものでございます。これによりまして各事業部の目標達成は、職員の育成や財務状況も考慮した上で、戦略や達成手段から検討され、区長から職員まで理解を共有して遂行されることになります。このようにバランス・スコアカードは組織の経営や庁内のコミュニケーション手段として有効に活用できるものと考えてございます。

 

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