20年第1回定例会での代表質問

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<質問通告>

 分権後の自治体教育行政のあり方について
 1)分権後、自治体教育行政はいかにあるべきかが今問われている。区長、教育長にその基本的な考え方を問う。
  @新たな子ども観について
  A区長部局と教育委員会との連携・協力の方法は
  B教育の機会の平等について

 2)学校運営連絡会の役割と今後の方向性は

 3)共育マスタープラン策定の趣旨とその視点は

<質問の全文>

 平成20年第1回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。

 区は、今年度(平成19年度)より教育委員会事務局と保健福祉部の次世代育成部門を組織統合し、「子ども・教育部」を創設し、来年度(平成20年度)には「共育マスタープラン」を策定することとしています。その組織統合の趣旨は、共に育つ、共に育む「共育」を教育委員会と子育て部門が一体的に推進するためとされています。
 そこで、このような機に「分権後の自治体教育行政はいかにあるべきか」という大きなテーマではありますが、あえて基本的な質問を行わさせていただきます。区として「子どものための教育」を実現すべく道筋を明らかにできれば思うからであります。

 さて、今日の大人社会ですが、負の部分いわゆる排除する社会、選別される社会のしわ寄せはすべて子どもたちへ及び、「僕が僕であるために」、「もっと自分らしく生きたい」と、子どもたちは心から叫び、悲鳴をあげています。今、私たち大人はその子どもたちの叫びに真摯に応えていかねばなりません。この点、市川市の平成13年に策定された教育計画は他の自治体のそれとは違いその思いが特に伝わってまいります。一部紹介させていただきます。
 「若い世代がモラルをなくしたのは彼らのせいではない。むしろ若者は破壊されているのだ。若者が崩壊しているのは、大人が背負いきれなくなった重荷を彼らに負わせた結果なのだ」との言葉から入ります。これはフランスの思想家ピエール・ルジャンドルの言葉です。そして「本市にあっても子どもたちの現状は非常に厳しいと考えています。今の子どもたちに『がまん』が足りないといいます。しかし子どもたちははっきりとこう言うでしょう。『これ以上、まだわたしたちに『がまん』しろというのか』と。大人たちへの信頼がゆらぎはじめ、子どもたちの反乱が始まっています。(中略)若者に重荷を背負わせているという大人たちはどうでしょうか。きっとまだ自分たち大人が子どもたちを追い詰めていることに、はっきりと気付いてはいないし、振り返ろうともしない人も見受けられます。」と。計画としては大変印象的な出だしで何がこの後書かれるのかと興味をそそり一気に読んでしまう、メッセージ性の強いものになっています。
 痛ましい悲惨な家庭内事件が毎日のように報道される今日、7年が経過した今も子どもと大人のこのような関係はいっこうに変わっていない、いやむしろもっと悪くなっているとも言えます。
大人の都合ということでは、「教育を手段としてきた社会」は結果として最も重いそのつけを子どもに負わせていることになっています。「子どもの幸せのための教育」、「子どもを優先とする社会」への転換を今こそ成し遂げねばなりません。私たち公明党は21世紀を「教育の世紀」と位置づけ今後の教育改革の基本的な視点として「子どもための教育」と「現場からの改革」の2点を掲げています。「子どものための教育」とは、戦前の富国強兵策や戦後の国家・経済至上主義のように教育を手段と捉えるのではなく、子ども一人ひとりの本来持っている能力と可能性を引き出し育てることにより、「子どもの幸せ」それ自体を目標とする教育であります。また「現場からの改革」とは、上からの改革ではなく、子ども、保護者、教員などが抱える悩みを直視し、その意見が生かされる教育改革であります。つまり現場である自治体レベルで家庭、学校、地域の連携による「子どもための教育」を実現していくことを党として大きな政策の一つとして掲げているのであります。
現在の子どもたちの置かれている状況を考えると一刻も早く自治体としてそのための具体的な道筋を示す必要があります。あくまで「子どものための教育」を目指し、自治体教育行政をいかに行っていくのかということを子どもたちにまた広く区民に示すことであります。この点については区長、教育長に基本的な考え方を問うものでありますが、その中で是非とも触れていただきたい項目があります。それは「子どもを主体とする新たな子ども観」、また「教育委員会と区長部局との連携・協力の方法について」、そして「教育の機会の平等」の3点であります。

 @ 最初に、子どもを主体とする新たな子ども観についてであります。
 今日まで、子どもはあくまで大人の庇護・保護の対象であり客体として捉えられひとりの人間として認められ尊重されることはなかったかもしれません。「一人で行動してはダメ」「〜したら怖い目にあうよ」「〜してはいけません」式の行動範囲を制限したり、規制しようとするものであります。よって子どもたちは何事にも受身になりがちとなり、いじめや虐待に遭っても親にも話せず、誰にも相談もできず自分が悪いと、辛い状況をがまんしてしまっている、なかには自ら死を選んでしまうという深刻な現実があります。今必要なことは、自分らしくありのままで居られる環境を子どもたちに整えてあげること、つまり一橋大学教授の福田雅章氏のいう「居場所」(そのままで良いという人間関係)をつくることだと思います。そのためには、私たち大人が子どもを一人の人間としてその人格を認め尊重していく子どもを主体とする新たな子ども観を基本にもつことが必要と考えます。
そこで、区としてまた教育委員会としてどのような子ども観を持って教育行政にあたるのかお伺いいたします。

 A 2点目に、教育に関して区長部局と教育委員会との連携・協力のあり方についてであります。
 行政委員会としての教育委員会には、@)政治的中立を保つこと、A)合議制による意思決定、B)住民自治の仕組みとしての教育委員会という重要な役割と機能が地方教育行政法に明確に謳われています。しかし、子どもの教育に関して、とかくその権限と責任が曖昧であると言われてきたことも事実です。それは縦系列の国の文部省(今の文部科学省)、都道府県教育委員会、区市町村教育委員会という関係が長く続き、委員会としてその本来の役割と機能が十分果たせてこなかったことからきているともいえます。そこでこの権限と責任についてですが、改めて、地方分権時代の首長部局と重要な役割と機能を持つ教育委員会が連携して担うということを明確にしてはどうかということであります。このことについて、東京大学大学院教授の小川正人氏は以下のように述べられています。「首長の指導力と教育委員会の合意形成システムがかみ合う仕組みを作り、両者が連携して権限と責任を持つようにしてはどうか。またその場合、教育委員会の持っている政治的中立性や継続性の確保は今まで以上に担保されねばならない」と。きわめて現実的な提案であり私も賛成であります。
 区としては最初に述べましたように教育委員会事務局と区長部局の子どもに関係する部門の組織統合が行われました。区長は昨年第1回定例会招集挨拶においてその意義について述べています。「次世代育成支援とは、単に子どもの成長・育ちを支援することのみに止まらず、子育てに関わる親(家庭)も共々に成長していくことを支援するものであり、同時に学校の中でも子どもたちの成長とともに教職員も育っていくものと考えています。世代や立場の垣根を越え、子どもたちと親、学校、地域が共に育ち、育むいわゆる「共育」であると考えます。こうした認識のもと教育と次世代の施策について、一体的に取り組んでいくため教育部門と次世代育成部門を再編・統合し、教育委員会に新たな推進体制を整備します」と。組織としては、共に育ち、共に成長する「共育」を推進するための推進体制が整ったということであります。この際、子どもの教育(共育)に関しての「権限と責任」について、区長部局と教育委員会が連携・協力して担うこと、またその連携・協力の方法についても明確にしてはどうかと考えます。この点についてのご所見をお伺いします。

 B 3点目に教育の機会の平等についてであります。
 「機会」の平等とは、どの地域のどの学校に行っても、また家庭にどのような事由があってもしっかり基礎学力は身につき、また本来持っている能力と可能性を引き出し育むことができる「機会」がすべての子どもに保障されているということであります。今日の日本社会は排除する社会、選別される社会と述べましたがそれは格差の拡大や階層化の進展をまねいております。そのことにより子どもの教育の「機会」が失われるようなことは絶対あってはならないことです。家庭、学校、地域そして行政が連携し断固教育の機会の平等を保ち、図っていかねばなりません。そこで、このような日本の社会状況の中で区長部局と教育委員会の連携・協力を持って、いかにして教育の機会の平等を図っていくのか、お伺いいたします。

 次に学校運営連絡会の役割と今後の方向性についてであります。
 学校運営連絡会は平成13年度より、全学校、園に立ち上げられておりメンバーは学校により若干異なりますが、概ね校長、PTA、民生委員、青少年委員、地元町会、保護司らの方々で構成されています。まさに家庭、学校、地域を代表する方々が一同に会しての会議体であります。現在、年2回定期的(2月と5月)に開催されていると聞いています。その役割としては
 @ 保護者や地域住民等から様々な意見や要望を学校運営に反映させること
 A 学校と家庭と地域とのコミュニケーションを通して家庭や地域からの強いサポートを得ることにより学校教育をより良いものに改善していくこと
と、されています。
 私は、教育委員会の重要な役割の一つでもある住民自治の仕組みを学校運営連絡会の役割として明確に位置づけること、そして教育委員会事務局内に連絡会の窓口を作り、関係する所管課が集まって支援する体制を整えることを提案したいと思います。そのことにより現場からの教育課題を教育政策に生かしていくことも可能となると考えるからであります。「住民とともに教育を語りつつ、民意を反映しながら地域の実情に即した教育行政が行うことも可能となります。」(西山邦一氏「教育委員会の組織・権限の現状と課題」より)このことを先駆的に実施している自治体に市川市があります。名称は異なりますがコミュニティサポート委員会として、全ての小学校、中学校合わせて55校全てに設置されています。メンバー構成はほぼ同じですが人数は一校平均22名で、中には生徒も参加してのサポート委員会もあるそうです。年3回から4回開かれています。その特徴としては、@委員会どうし横の推進組織としての「コミュニティ推進委員会」があること。A学校ごと教師の中でサポート委員会担当主任を決めて研修会まで行っていること。Bそして、行政内にプロジェクト会議「コミュニティサポート推進PJ」を設け庁内横断的に関係する所管課が話し合い支援する体制ができていることなどであります。市川市の教育委員会地域教育課長から直接お話をお伺いすることができ大変参考になりました。課長は「地域の教育課題とその改善のための施策を学校と家庭、地域が一丸となって取り組むためにはこのような現場からのボトムアップ型の仕組みが必要です。市川市にそれを可能にしたのはコミュニティスクールの歴史が20年以上あったからだと思います」と話されていた言葉が印象に強く残っています。

 さて、あと一点、学校運営連絡会に関連してですが、教育委員会と教育長・事務局の役割分担を明確にしてはどうかということであります。地方教育行政法第23条(第1項〜19項)で謳われている教育に関する日常の様々な職務権限が教育委員会にはあります。しかし、実際には非常勤、兼職の教育委員が月2回の定例会ですべてのその権限と責任を担うには当然無理もあり矛盾もあります。そこで「教育委員の役割を地域の教育政策の課題の設定や大綱的方針の設定、そして教育長・事務局の仕事の監督・評価に限定し、その具体的な政策立案と執行管理という専門的事項は『専門家』である教育長・事務局に任せるという両者の役割分担を明確に区別すること」(小川正人氏「市町村の教育改革が学校を変える」より)が必要と考えます。また教育委員会の議題を事前に学校運営連絡会や広く区民に公開し、また委員会として決定したこと、議論したこと、課題として残った事項なども広報し、議事録も積極的に公開していく必要があります。
学校運営連絡会の役割(位置づけ)と今後の方向性、また教育委員会と教育長・事務局との役割分担について提案も含めて述べさせていただきました。ご所見をお伺いします。

 最後に「共育マスタープラン」の策定の趣旨とその視点についてであります。
 策定の目的としては、先ほど紹介した区長招集挨拶にありましたように、「世代や立場の垣根を越え、子どもたちと親、学校、地域が共に育ち、育むという『共育』を実現するために、行政だけでなく家庭、地域、学校が連携して取り組むための方針の策定である」とされています。
「子どもにはもともとすごい力がそなわっています。無限の可能性です。それを引き出すのは、暖かな『励ましの対話』です。」その励ましの対話こそは「子育てを通して親も子も共に成長していく、また教育を通して教師も生徒も共に成長していくという『共育』の考え方」(以上2007.8/24聖教新聞より)がベースとして必要であります。また、その出発点は子どもたちを立派な一個の人格として尊敬できるかどうかだと思います。「教育とは(共に育つ)『共育』である」とする考え方には、子どもと大人がある意味対等な立場に立ち、お互いの人格を尊重し合い、認め合うという関係がベースになくてはなりたちません。つまり共生の考え方であり、それは子どもを主体とする新たな子ども観につながっていくと私は確信しております。
 大人社会が「教育とは(共に育つ)『共育』である」との考え方に変わったとき、若者の崩壊の解決、また「僕が僕であるために」、「もっと自分らしく生きたい」との子どもの叫びを叶えることも可能になります。まさに「子どもための教育」の実現であります。その理念、方針を広く区民と共有するために今回共育マスタープラン策定の目的があると思います。
またプラン策定の視点ですが
 @ 家庭・地域・学校が連携する千代田区の教育や幼稚園、保育園のあり方の検討、調査
 A 現状・課題等を踏まえた独自性や斬新性のある事業プランの提案
 B 0歳から18歳までの子どもに関わる施策の体系化
 C 家庭の教育力向上に向けた事業プランの提案
の4点が示されています。いずれも大事な視点でありますが、一つ加えさせていただければ、それは平成15年に国が次世代育成法に基づく子ども行動計画策定のために示された「子どもの視点」であります。その箇所を引用しますと「次世代育成支援対策の推進においては、子どもの幸せを第一に考え、子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮することが必要である」と。つまり、子どもを主体とする視点であります。千代田区次世代育成計画にはすでにその「子どもの視点」が入っております。この度の共育マスタープランは子育ても教育も含むものですからその上位計画にあたります。当然この子どもを主体とする「子どもの視点」をベースに置きながら先の4つの視点が構成されていくべきと考えます。
 「共育マスタープラン」策定に際し関係する私の考え意見を述べさせていただきました。
そこで、改めて「教育は『共育』である」とする考え方とマスタープラン策定の趣旨、そしてその視点についてお伺いいたします。

 以上、分権後の自治体教育行政について質問させていただきました。
 最後に、文豪島崎藤村が実は今回の「共育」の考え方に通ずる言葉を多く残していますので一つだけご紹介させていただき質問を終わります。それは藤村全集弟9巻からになります。
「『現代の急務は、子どもをして逆にその父母を教育せしめることである』と言った人もあったとやら(ようだ)」。子どもに注意を向けることは、やがて私たち自身を育てることになる。全く、子どもの世界は一つの大きな秘密だ。子どもは既に一切を具備するもののように見える。唯、子ども自身にはそれを引き出すことを知らずに居るという迄だ。」以上です。
 

 どうもありがとうございました。

<区長答弁>

 大串議員のご質問のうち、首長の教育行政に関します教育委員会との連携協力についてお答えをいたします。

 広い意味での子育てというのは、手づくりの世界だろうと思います。親御さん、あるいは家庭、学校の先生、地域が子どもとの葛藤、あるいは共感を覚える、そういうのが私は子育てだろうと思います。その中心としてやはり基本は家族が最も大切だろうと思いますし、家庭が子どもの心のよりどころという社会であるべきだろうと思います。しかし現実は、ご承知のとおり、そうした状況でなく、一方では、最近言われておりますワーク・ライフ・バランスというのが、子どもにとっても家族を大切にということになるだろうと思います。子どもを考えたときに、ゼロから18歳について、昨年の組織改正でも申し上げましたし、今回の招集あいさつでも申し上げましたが、世代や立場の違い、垣根を乗り越えて、子どもたちと家庭、親、学校、地域がともに育ちはぐくむ、いわゆる共育の考え方で子どもに関することを行うべきだという基本的な考え方を持っております。したがいまして、教え育てるイコール共に育つということだろうと思います。こうした考え方で昨年来の組織改正をお願いしてきたわけでございます。
 そして、教育委員会に次世代部門を統合した意味するところは、ご承知のとおり、教育委員会は行政委員会でございまして、教育の政治的中立性と継続性、安定性が担保されなければならないし、されるべきだろうと思います。そうした教育委員会として持っている専門性、中立性、公平性を保ちながら、地域に根差した教育行政を推進するという意味では、子育て部門を教育委員会に寄せることが私は一番ベターだと、しかも一貫して取り組めるということで組織の統合をしたわけでございます。そうした中で、いわゆる区長部局と教育委員会との関係を申し上げるならば、例えば学校に例をとりますと、学校を設置するのは学校設置者の首長でありまして、学校設置の理念等は首長が考え、提案するものでありますが、その学校をどう具体化するか、その内容及び教育方針などは教育委員会の役割と権限だろうというふうに思っております。したがいまして、九段の中高一貫校を設置するときは、私のほうから提案し、考え方を申し上げた。その内容を具現化するのは教育委員会だという、そういう役割だろうと思います。一方では、ご承知のとおり、予算編成権は首長にありますので、教育委員会が具体的ないろんな施策を行うときに、十分に教育委員会と区長部局とが連携をとって、より進んだ教育行政あるいはともにはぐくむという、そういう事業を展開していただけるものだろうと思います。
 私自身も、もう子育てを終わったわけでございますが、私自身は、教え育てるという教育は、元来、多様性を持っているものだろうと思います。個を伸ばし、画一的な価値観で教え育てるというものをとらえていくべきではないという思いはあります。そして、子どもたちが社会へ出たときに、学校で渡された教科書は幾つも社会の中にはございません。そして、社会というのは、あらかじめレールが敷かれているわけではない、正解は1つではない、そういう社会でありますから、ぜひ子どもたちが自分で考え、判断し、そうしたことができる子どもとして育っていただきたいし、それは学校だけではなく家庭、家族あるいは地域、それが総体として取り組んでいただきたいというふうに考えております。
 どうか、組織を一元化して1年たつわけでございますが、ともにはぐくむという、こういう思いの中で今回教育委員会として共育マスタープランをつくるということでありますので、しっかりとそうした組織を統合した思いを考えながらつくっていただけるというふうに私は確信をしております。

 その他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。   

<教育長答弁>

 大串議員の6点のご質問にお答えいたします。

 まず、新たなこども観についてでございます。
 子どもはそれぞれの個性、特色を持ってございまして、また、無限の可能性も持っております。その資質の可能性を伸ばす必要があります。このことを前提にすべての子どもたち一人一人にきめ細かく対応できるよう、より良い教育環境づくりが教育委員会や学校教育現場に求められているものと認識してございます。平成20年度の本区の新しい教育目標におきまして、育てたい人間像を明確にいたしますとともに、その実現には家庭、学校、地域社会のそれぞれが責任を果たし、連携して子どもたちを支援していかなければならないと、そういう強い認識に立ちまして、すべての大人が教育に参加することを目指すことを強く打ち出しております。今後も子どもたちの可能性を引き出し、伸ばせる教育活動を各学校が展開できますよう教育委員会がそれを強力に支援してまいります。

 次に、教育の機会の平等についてでございます。
 教育目標を実現し、子どもたち一人一人が困難を乗り越え、自分らしさを発揮して生きる力を身につけていくために、様々な教育施策、次世代育成支援施策を実行していくという理念は、組織が統合されても変わるものではございません。義務教育をはじめとする次世代育成支援策につきまして、子どもたち一人一人の可能性を引き出し、はぐくむことができるよう、千代田区のすべての子どもたちにその機会が保障されることが基本であると考えております。教育委員会としまして、子どもや家庭の多様な状況に応じ、家庭、学校、地域と連携し、多様な選択ができるよう、引き続き様々な機会を提供していきたいと思います。

 次に、学校運営連絡会の役割と今後の方向性についてでございます。
 まず、学校運営連絡会は、学校、園の自主性、自立性を高めるとともに、学校と地域との連携を深め、地域に根差した特色ある学校教育を展開することを趣旨として設置したものでございます。教育委員会では、学校運営連絡会からの多様な情報を得ることによりまして、施策への反映を図り、また連絡会の一層の機能充実のためのサポートをしてきているところでございます。また、各学校、園におきまして、学校運営連絡会の中に評価委員会を設置いたしまして、学校運営についての評価に取り組んできております。今後も保護者や地域住民の声を学校運営に生かす制度の一層の充実を図ってまいります。折しも平成19年10月に学校評価に係る学校教育法施行規則の一部を改正する省令が公布されまして、学校は教育活動その他の学校運営の状況につきまして評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るために必要な措置を講ずることが定められました。これに基づきまして、本区におきましても今後、学校、園におきまして、今まで実施してきました学校評価を一層充実いたしまして、自己評価及び学校関係者評価、それから評価結果の設置者への報告義務を明確に示しまして、学校運営連絡会での家庭や地域からの声を受けとめるシステムを構築していきたいと思っております。今後、この取り組みにつきましても、一層の精度を図りまして、保護者や地域の方々の声を直接施策に反映できるよう、また家庭、地域、学校が一丸となって教育課題に取り組めますよう引き続き努めてまいります。

 次に、教育委員会と教育長・事務局の役割分担の明確化についてでございます。
 現在も教育委員会と教育長・事務局の役割分担につきましては、地教行法及び教育委員会規則によりまして明確に規定されており、教育委員会の事務は教育委員会の指揮監督を受けまして、教育長がすべての事務を処理することとされておりまして、その補助組織として事務局が設けられているところでございます。したがって、実質的、大綱的な教育方針のもとに施策の具体化や執行管理につきましては、教育長以下事務局が担いまして、適宜委員会へ提案をいたし、審議、意見をいただくということにしてございます。しかし、一部、教育委員会が形式化しているとか、あるいは実質的な委員会機能が発揮されていないという中央教育審議会の意見がございまして、今般、地方における教育行政の中心的な担い手でございます教育委員会が、より高い使命感をもって責任を果たしていくという観点から、地教行法が改正されまして、教育における地方分権の推進が図られることとなりました。その中で教育委員会の責任体制の明確化、委員会体制の充実、教育行政における地方分権の推進等が図られまして、教育に関する事務の管理及び執行の基本的な方針に関する事務あるいは規則、規程の制定・改廃、人事などの重要事項は教育長に委任できないということが規定されまして、合議制の教育委員会が自ら責任を持って管理、執行していくということになったところでございます。したがいまして、教育委員会の規定整備をいたしますとともに、基本的な方針の策定、活動状況の点検などをこれから教育委員会として推進していきたいというふうに考えてございます。

 次に、教育委員会の会議の公開についてでございます。
 現在、教育委員会の会議の開催に当たりましては、事前に区のホームページで議題を公開をし、区民の皆様の傍聴について対応できる環境を整えているところでございます。また、議事録は、窓口におきまして、区民の皆様の求めに応じて公開しているところでございます。今後は、今回の地教行法の改正の趣旨を踏まえまして、より区民の皆様に積極的に情報提供を行いまして、教育委員会としての説明責任を果たし、教育行政に関する理解と協力を得られますよう、議員ご指摘の趣旨に沿って改善してまいりたいと考えております。

 次に、共育マスタープランの策定についての視点でございます。
 昨年4月、子育て部門と教育部門を統合しましてこども・教育部を創設いたしたところでございます。また、先ほど述べました地教行法の改正もありまして、教育委員会の責任体制の明確化を図る観点から、教育に関します基本的な方針を教育委員会自らの責任で管理、執行するということになったところでございます。教育委員会では、子育てと教育が一体となった組織改正や、この間の一連の法改正の趣旨を踏まえまして、家庭、学校、地域が一体となって子どもたちを育て、また自らも育っていくという、いわば共育という考え方を基本に、教育施策、次世代育成施策を総合的に推進していく上で基本的な方針や主要課題を体系化した共育マスタープランを策定していくことといたしたところでございます。策定に際しましては、議員ご指摘のとおり、子どもの幸せなど、子どもの視点を持つことは当然のことと認識してございまして、子どもの成長を社会全体で支えるためのプランをつくっていきたいというふうに考えてございます。
 共育、ともに生きる力をはぐくむことは、発達段階に応じまして、家庭や地域、学校生活の中で、様々な人との触れ合いを通じまして、ともに理解をし、支え合い、お互いに貢献しようとすることによってはぐくむことができるものと考えてございます。そして、このともに生きる力は、常に他者とともにある、あるいは相手の立場や価値観を認め合う相互理解のもとに尊敬し合うことでまた培われるものであるというふうに考えてございます。これらの視点に立って、次世代の社会を担う子どもたちのため、家庭、地域、学校のそれぞれのあり方、役割、その方策について取りまとめていきたいというふうに考えてございます。


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