20年第3回定例会での代表質問

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<質問通告>

住民にもっと身近な「都市計画」を目指して!

▼10年を経過する「都市計画マスタープラン」の改定について。
▼今日、都市のハード、ソフト両面の変革が必要とされている。そこで、住民主体のまちづくりを可能とする(仮)「まちづくり条例」の策定を提案する。所見は。
▼身近な「都市計画」を目指して
@地区計画策定のためのわかりやすい「手引き」を作成してはどうか
A行政の持っているまちづくりに関する地域ごとの情報を地域ごとに提供してはどうか
B都市計画(まちづくり)教育について

<質問の全文>

 平成20年第3回定例会にあたり、公明党議員団を代表して質問を行います。

 質問の主旨は「都市計画」をもっと住民に身近なものとすることにあります。最初に都市の役割と機能について確認し、その後、
1. 区の都市計画マスタープランの改定について、そして
2. まちづくり条例策定の提案、 また
3. 身近な都市計画とするための具体策 
の3点について質問をします。

 都市計画というと工学部系の専門家がもっぱら携わるもので、素人である住民はただ任せておくしかないというイメージがあります。関係する法律である都市計画法 や建築基準法は一般の法律用語の他に「線引き」、「用途地域」、「一種○○」、「二種○○」等の専門用語が並び実に難しいのもそうさせているのかもしれません。
 しかし、都市や地域をとりまく環境は、今までの常識を超えるゲリラ豪雨の発生や誰でもよかったとする凶悪な犯罪、そして子どもの安全の問題など深刻さを増しています。これらの解決のためには地域としてハード、ソフト合わせたまちづくりを持って臨まねばならなくなっています。そのためにも、地域に関わる住民や町会を始め企業や大学そして行政が一体となって都市計画を身近なものとして使っていけるのかが大事となっています。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、国や都道府県主導による一律な都市計画では今日地域のかかえる課題はもはや解決できなくなっています。
 約50年前ですが、アメリカの作家でありジャーナリストのジェーン・ジェイコブス女史は名著「アメリカ大都市の死と生」(1961年)の中で、都市に必要なものは何か、都市の機能は何かを問い、近代的な都市計画や都市開発を批判し、小規模な地域を大切にした「人間的な都市」の必要性を訴えました。本の中で、「超人的なスケールの構造体が視覚的に既存の秩序を破ったというばかりでなく、そこにあった生活のきずな、―クラブや学校区を通じて行われるコミュニティのつながり―までも切断してしまったのである。圧倒的多数を占める中産階級の都市(化)からの流出が著しい現象となりはじめた要因もここにあった」(「アメリカ大都市の死と生」訳者あとがきp.263〜264)と。つまり、ハードのみを優先とする都市計画ではなく、地域のこと、生活のこと、子どものことなどのソフト面もあわせ持ってこそ都市 計画であり、都市の機能もまた都市の役割もそこにあると述べたものであると理解しています。
 北海道大学大学院教授の越沢明(こしざわあきら)氏は日本の戦後の都市計画について、一定の成果とともに負の部分いわば代償も大きいものがあったとして、ジェイコブス女史同様、以下のように述べています。
 「一方で失った代償も大きかった。オリンピック道路、首都高速道路は、道路の景観設計という配慮に欠けていた。その標準断面図には街路樹、植栽帯は皆無であった。帝都復興事業(後藤新平が企画)によってつくられたゆとりのある植栽帯は自動車交通のために撤去され、四列並木は二列に改められた。隅田公園のプロムナード(遊歩道)部分は首都高速道路の貫通により犠牲となり消滅した。そしてこのオリンピック関連の都市改造を最後として東京の都市計画は停止し、以後山積する課題を残したまま、20年以上が経過することになる」(「東京の都市計画」P.251 1991年)と。つまり、経済を優先とする復興を都市の役割・機能として進めてきた結果、女史のいう「生活のきずな」まで切断してしまった。以後、東京には都市計画は停止したと厳しい指摘ですが同感できるものであります。
 繰り返しになりますが、今後は、区市町村レベルにおける地域に焦点をあてたソフト、ハード両面そろっての都市計画の時代であります。そのためにも住民に身近な都市計画としていかねばなりません。自治体は都市計画に関する事務が自治事務となり、権限と責任を合わせ持つことになりました。区として住民に対して都市計画に関する責任が果たせるよう準備もし、体制も敷いていかねばなりません。問題は何を準備しどう体制を敷いていくのかであります。

 さて最初の質問は10年を経過した区の都市計画マスタープランの見直し、改定についてであります。
都市計画マスタープランは平成10年3月に策定されました。地域ごとまちづくり懇談会を設置し、平成7年から議論を積み重ね策定したものです。プランの位置づけと策定の根拠ですが、平成4年の都市計画の改正で市町村にまちづくりの最上位の計画として、都市計画マスタープランの作成が義務づけられたことによります。住民が自分たちの住んでいる地域の将来像(目標)やルールを決める際の重要な指針となるべきものです。マスタープランには「住民参加によるまちづくりの展開例」が示されています。それは、
1. まちの魅力や問題点を見つけよう
2. どんなまちにしたいか考えよう
3. 地域で話し合おう(まちづくりを考える組織をつくる)
4. ルールを決めよう、計画をつくろう 
5. 実現しよう(ルールに沿ってまちづくり事業を進める)
と、フローチャートにして示されています。
また、まちづくりの目標と方針が7つの分野ごと具体的に書かれます。まさにソフト、ハード両面にわたり、住民、企業、行政が協働して取り組むまちづくりの指針となるものです。イラストや表、また地図、写真を多用し誰にもわかりやすいものになっているのが特徴であります。
 しかし、策定から10年が経過した現在、プラン全体の見直し、改定が必要になっているのも事実です。それは、
1. 地球温暖化の問題や防犯対策など社会状況が大きく変化していること
2. 同じように地域の状況や課題も変化していること
3. 関係する都市計画法の抜本的な改正があったこと、
4. 住民の合意が尚一層重要になっていること、
5. 新たに理念としての「共生の考え方」を区政運営の基本に据えたこと、そしてこの際
6. 基本構想との一致をはかる必要があること
などの理由によります。見直し、改定を行い区民のまちづくりのニーズに応えられるようすべきであります。特に基本構想との一致についてですが、基本構想の実施図面として都市マスを位置づけることは当然の方法だと思います。総務省の自治法に基づく「基本構想・基本計画」と国交省の都市計画法に基づく「都市マス」の重なり合いが結果として地域の自治を育てていくことにつながるからです。そのことがまた地域の課題解決に地域の自治を最大限活かした取り組みへとつながっていくことになります。
 もし、都市マス改定となれば、従来の冊子、概要版のみでなく大きな模型(1/1000くらいですか)もつくり区役所1階ロビーに展示し、誰もが具体的にイメージできるようにしてはどうでしょうか。地図に色塗りしただけではまだまだイメージできないからであります。
 マスタープラン改定の必要性と模型展示の提案をさせていただきました。そこで、区の都市計画マスタープランの見直し、改定はどうされるのか、お伺いいたします。

 次に、(仮)まちづくり条例の策定についてであります。
 策定の一番の根拠とするところは、都市計画法の改正にあります。平成4年の改正に続く平成12年の改正は地方分権改革に合わせ大規模で抜本的なものとなりました。平成12年2月に「今後の都市政策は、いかにあるべきか」について、都市計画中央審議会から答申が出されましたが、ほぼこの内容に沿って抜本的改正はなされました。答申は大きく、1)見直しの背景、2)課題、3)講ずべき施策の3点から構成されています。
 「見直しの背景」と「課題」に書かれていることも大変重要ですが、ここでは省略させていただきます。条例と直接関係するところは「講ずべき施策」であります。それは、「地区計画制度の改善」として第16条に新たに第3項が加えられたことであります。大変画期的でありました。その条文には
 「市町村は、前項の条例において、住民又は利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定若しくは変更又は地区計画の案の内容となるべき事項を申し出る方法を定めることができる」と謳われたのです。どういうことかといいますと、この改正前までは、この地区計画の案については、第16条第2項に、区域内の地権者の意見を聞いて自治体が作成することができるとなっていました。ただし、「条例による」とされ、自治体が条例をつくることによってできるものです。この条例については、千代田区も昭和58年に定めたものがあります。そこに新たに第3項が加えられたわけです。まず第2項では「地権者」(土地の所有者)となっていたものが、「住民」となったこと、そして「案は市町村がつくる」となっていたものが、「住民が案をつくり申し出もできる」となり、そしてそのための「条例を定めることができる」としたものです。まさに住民を主体とするまちづくりを可能にした画期的な項目が加えられたことになります。
 さらに、提案された都市計画の決定に際しての手順、手続きについても第17条第2項が付け加えられました。都市計画決定のための簡素化は国民の財産権の制限につながることから条例でも認められませんが、逆に手続きをより丁寧にしたりまた詳細化したりすることはこの第2項ができたことにより可能となりました。説明会の開催や広告縦覧の期間の延長や、意見書に対して応答義務を設けるなどであります。ただし、これも「条例による」とされました。
 地区計画の案の提出が住民の権利として(第16条第3項)、またその決定に際しての手続きの加重化や詳細化(第17条第2項)が新たに謳われたことになります。いずれも自治体の「条例による」とされ、どのような条例にするのかはあくまで都市計画に権限と責任を持つ自治体の裁量に委ねられたわけです。
 そこで、この都市計画法第16条第3項及び第17条第2項の「条例による」とされた条例を新たに策定する予定はあるのか、または今ある手続き条例を改定しそこに加えるのか、まずはお伺いいたします。
私は、地域の課題や問題点を解決すべく、このことを契機としてこの際、まちづくりの総合的な条例を策定することを提案したいと思います。それは地域・まちのハード、ソフト両面からの取り組みを可能にするまちづくり条例であります。ハードの計画を「地区計画」とすれば、ソフトの計画も必要になってきます。それは、自治体によっては既に作成しているところもありますが「地域コミュニティ計画」であると思います。「地域コミュニティ計画」については少し説明が必要ですが、鳥取市の「地域コミュニティ計画作成の手引き」から引用させていただきます。
 「まちづくりに対する地域の皆さんの要望が多様化しまた高度化する中で、全てを行政が担うのではなく、地域の皆さんと行政が協働して考え、どのような地域にしたいのかという思いや、地域の課題・問題点の解決に向けた取り組みを計画的に実施していくことが求められています。
 その活動の目標や方向性を記したものが『地域コミュニティ計画』です。『地域コミュニティ計画』は、地域の皆さん一人ひとりの力を引き出し、自主的に地域コミュニティ活動へ参画するための目指すべき方針となります。
 計画の内容は
1. 地域の現状や課題
2. 地域づくりの目標
3. 目標を実現するためのコミュニティ活性化策
4. 期待できる効果
などを盛り込みます」と。そして作成までの流れがフローチャートで示されています。
 まちづくり協議会の結成→
 地域の現状や課題の調査→
 将来像と目標の設定→
 課題解決の方法と検討→
 計画書の作成→
 事業の実施
と、これはまさに先ほどの区のマスタープランにありました「住民参加によるまちづくりの展開例」(地区計画策定のため)のフローチャートと項目や作成手順もほとんど同じであります。ただ、地区計画はハードに関することで地域コミュニティ計画はソフトという違いだけです。むしろハード、ソフトのこの二つの計画が同じ地域に揃うことによって地域の目指す目標もまた達成されるのではないかと思います。区に於いて基本構想とマスタープランが一致することによって、目指すべき将来ビジョンがよりわかりやすいものになるように、地域においては地区計画と地域コミュニティ計画が揃うことで、生活優先の都市計画も、子どもの成長という視点からの都市計画も可能となるのではないでしょうか。ある意味、ジェイコブス女史のいう「人間的な都市」の実現につながることと思います。
 具体的には、条例において、16条第3項と17条第2項の地区計画の案の提出や決定までの手順・手続きを定めること、そして地域コミュニティ計画を位置づけること、また地区計画やコミュニティ計画作成のための(仮)まちづくり協議会を位置づけることなどを柱とする総合的なまちづくり条例となります。
 そこで、以上のような総合的な(仮)まちづくり条例の策定を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。

 次に、身近な都市計画を目指しての具体策についてであります。
 最初に都市計画に関する知識の普及と情報の提供についてです。平成12年の都市計画法改正で新たに加えられたものが実はもう一つあります。第3条第3項であります。それは「国及び地方公共団体は、都市の住民に対して都市計画に関する知識の普及及び情報の提供につとめねばならない」というものです。わざわざ設けられた条文であります。そこで一つの方法として、地区計画に関して、マスタープランに示された「住民参加によるまちづくりの展開例」いわゆる地区計画策定のためのフローチャートに即す形で誰にもわかりやすい「地区計画策定のための手引き」、もしくは「パンフレット」の作成を提案します。計画は住民の合意を前提にしていますが、そのためには多くの住民の参加が必要なことはいうまでもありません。わかりやすい手引きやパンフレットがなければその参加も見込めないからです。
そこで、「地区計画策定のための手引き」の作成の提案をします。ご所見をお伺いします。

 情報の提供ということでは行政から地域へまた地域から行政へと双方向で受発信ができる工夫が必要です。まちづくり推進部で行っている5年ごとの現況調査や区民生活部で行っている各種統計調査、まちみらい千代田で行っているマンション実態調査などまちづくりに関する情報を地域ごとにまとめ整理して提供できるよう工夫してみてはどうでしょうか。双方向での情報の受発信ということでは、防災を例にしますと、先日6月ですが麹町学園と麹町3丁目町会が主催して太陽光発電システムのオープニングセレモニーが同学園内でありました。緊急時に300人分の飲み水と200Wの非常用電源(被災当初の二日間で携帯やパソコンなどの充電で使った場合約300人分)が確保できる太陽光発電システムができたというような情報が地域から行政に寄せられます。そこに今度は行政側の持っている情報です。この地域の災害時の緊急物資は麹町小学校の備蓄倉庫にあり、飲み水は足りているが非常用電源はあと何人分必要だという具合です。地域に不足しているということがわかれば地域の課題として計画に取り込みます。この他、行政では把握できない地域の様々な課題もあると思います。各出張所を拠点としてこのような情報の受発信ができるよう工夫してはどうでしょうか。環境や防犯、子育てなど分野ごと「まちづくりカード」として蓄積していくというのも方法だと思います。地区計画や地域コミュニティ計画を作成する際、また計画の検証にこれらのカードは役にたつはずです。
 そこで、行政の持っているまちづくりに関する情報を地域ごと整理して提供する方法についてお伺いいたします。

 次に、都市計画教育についてであります。
 先日、麹町小学校で日大のサークル「子どもと一緒にデザインしよう会」のOBが立ち上げたNPOと麹町小学校ワークわくクラブの企画による「ぼうさい探検隊」が実施されました。当日は小学生45名、中高生7名、大学生16名、NPO1名、損保会社4名の方が参加しました。また消防署からはレスキュー隊が、地元からは消防団が参加しました。子どもたちは8班に分かれ実際にまちに出ての防災マップづくりを行ったそうであります。8枚8通りのマップができ、班ごとの発表会も行われました。8枚のマップは今年度のぼうさい探検隊マップコンクールにも応募されます。嬉々として取り組んでいる子どもたちの写真を紹介できないのが残念です。昨年に比べて参加児童数は3倍にもなったとのことです。
 もう一つの例が、今年1月に飯田橋で行われた「子どもまちづくりワークショップ模型展示会」です。こちらは法政大学工学部建築学科などの学生有志による「スタジオ子どもまちづくり」によるものです。参加児童は富士見小学校5年生の二クラス69名です。学生は、昨年の11月から富士見小学校の協力を得て図工の授業(全6回)を実施し、授業では現在と江戸時代の地図を重ねることから始め、都市の道の作り方など都市計画を学びます。模型は五つのテーマの中から興味を持ったテーマを選びテーマごとに製作します。小学生の目線で未来の飯田橋を作りあげました。
 二つの例とも子どもの都市計画を体験できる大変良い取り組みだと思います。これも地元の大学生の協力がなければできなかったでしょう。二つの例に共通していることは子どもたちの気持ちや意志をとても大切にしていることです。ドイツ、ミュンヘンの子どもたちが作るまち、ミニミュンヘン(子ども都市計画)まではいかなくても子どもたちは自分たちのまちを自ら考えるという良い体験になったと思います。
 そこで、教育の中に都市計画なりまちづくりを入れてはどうでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

 以上、住民に身近な都市計画を目指して!質問を行いました。
最後に、答申「今後の都市政策は、いかにあるべきか」の「おわりに」から引用して質問を終わりたいと思います。
「都市計画制度は、それを利用する地方公共団体が、まちづくりに取り組む熱意をもって活用してこそ、はじめて効果を発揮するものである。(中略)都市を望ましい方向に変革していこうという強い意思を持ち、また、地域の実情に応じた工夫をしながら、新しい時代の都市計画に主体的に取り組まれることを期待する。
 さらに、新しい都市計画制度のもとでは、一般の市民の役割が一層高まることになる。市民一人ひとりが、市町村マスタープランや、地区計画といった身近な都市計画を中心に、都市計画に大いに関心を持ち、積極的にその決定過程に参画することが重要である」と。
以上です。
 ありがとうございました。

<区長答弁>

 大串議員のご質問にお答えいたします。

 ご質問にもありましたように、都市計画は専門家のもではない、まさに私も同感であります。そして、都市計画は直接区民生活に影響を及ぼすことから、議員ご指摘のとおり、地域が主体というのが基本でありまして、その取り組みについて、これまでも知恵と工夫で試行錯誤を重ねながら進めてきたつもりであります。
 ところで、千代田区というまちをどうとらえるかということを申し上げますと、まず、不動産の流動化が非常に激しいということが第1点。それから、2点目は、区民イコール不動産の所有者ではないと。これは圧倒的にほかの地域と違うわけでございます。その中で、まちづくりをどう進めていくかということは、非常に知恵と工夫をしながら進めなければならないのが千代田区の実態。通常、一般的に言われている住宅地は、いわゆる区民イコール不動産の所有者というのは、本当にイコールに近いわけですけど、全然そういう状況ではないということをまず前提にしながら考えていかなきゃいけないと思います。その中で、ご承知のとおり、都市計画マスタープランについても、まちづくり懇談会を初めとするさまざまな媒体を通じて、地域特性を生かした地域主体のまちづくりのあり方を議論してきた経過はございます。
 一方、日本の都市計画は、ご承知のとおり、西欧、特にドイツのように、詳細な計画という中身ではない。そして、ある面では都市計画の持っている仕組みは、枠組み、方向性であります。それを具体にコントロールし誘導するのは、大部分は建築基準法という、そういうところで行っております。ある面では、面的な対応が非常になかなか難しい仕組みになっているのが現状だろうと思います。しばしばよく言われていることは、都市計画という枠を破って基準法がいろんな形で認めるという例が多々あります。まさに、基準法というのは、ご承知のとおり、1つ1つの建築物の合法性いかにという形でやりますので、都市計画という例えば枠組みを超えていろんな行為ができるし、また、その合法性があるのが現状であります。
 一方では、23区は、ご承知のとおり、東京都が依然として分権という時代の中でも23区を1つの都市計画地域というふうに考えまして、さまざまな権能を制約しております。一例を申し上げますと、例えば建築確認については、1万平米以上は東京都、かつそれに伴うさまざまな許認可については東京都という関係になっておりまして、私は、これはもう従来からこういう考え方はおかしいということを申し上げておりますが、なかなかそういう部分について破れない。しかし、一方では、具体的な建築行為のときに、ご承知のとおり、これは都の権限ですよというわけにはいかない。どうしても、区政がさまざまな関係者との間で調整をし、そして会をつくっていくという、大変膨大な前さばきの仕事をせざるを得ないという、こういう状況が千代田区の置かれている状況であります。
 そこで、我々としましては、何といいましても、その中で最大の知恵を出すのが、私は地区計画制度だと思います。これは詳細な個別計画ではありませんが、比較的同質の地域を一定の範囲としてとらえて、まちづくりに関する地域合意を図れる方向性というものを面的に対応する仕組みであります。例えば高さ、あるいは一定の敷地については緑地のとり方、あるいは道路と建物とのあり方、あるいは建築物の用途についての大枠のあり方、規制と申しますか、用途、容積以上のことをやる。あるいは、今日では景観という、そうしたことを実は地区計画という中で盛り込めるようになっておりまして、単に単体規制ではなくて、同質の一応地域をそういう形で、地区計画という形で合意形成をとり、それを1つの目安として、個別の単体の建築行為について具体的な誘導をするという仕組みになっております。ある面では、このことが一番、千代田区の与えられた役割と権限の中で、私はこれを最大限に知恵を出してつくっていくということが今最も肝要だろうと思います。
 具体的に申しますと、直近の例では、旧警察病院を含めた大規模な開発については、あれは地区計画という枠組みと再開発という枠組みとを駆使しながら、一定の地域貢献を周辺にしていただくという形で、かなり事業者と話をしながら理解を得て、地区計画という枠組みの外に対して、広場の造成だとか、駅のバリアフリーということを展開したわけでございます。これもまさに地区計画という仕組みを、いろんな形で知恵を使って、面的によりよいまちをつくっていくという仕組みとして導入したわけでございます。
 一方では、こうした枠組みができませんと、ご承知のとおり、あくまでも単体で物を考えるという状況になりますと、どうしても基準法という枠組みになりますから、それを優先し、その合法性だけで判断をすると、周辺への影響が大きくなります。そこで我々は、できるだけ合意をとりながら、スピードを持って地区計画という、そういうことをつくっていくことが、結果としてよりよい地域づくりにつながるというふうに思います。そのために、いろいろ手続・手順が、やや大串議員がおっしゃる課題がありますので、我々といたしましては、これから都市計画法16条の3項、あるいは17条の2項が、本質にいろんな人のご意見を受けとめる仕組みであるということを認識し、制度に向けて検討をしてまいりたいと思います。まず当面、そこのところを考えることが早急に必要でありまして、お話のようなまちづくり条例というのは、むしろかねてからご議論のありました自治条例とすべて絡んでおりますので、そうしたことはちょっと時間をいただきたいと思います。その前に、16条3項、17条2項の本来持っている、いろんな方々が意見を述べ提案できるという仕組みを、千代田区というまちの実態に合わせた形で制度構築をしていかなきゃいけないと。特に冒頭申しましたように、千代田区のまちは不動産の流動化がすごい速い。一方では、住民と権利者とがイコールでないという、こういう中で、どういう16条3項、17条2項の制度構築を進めるかというのは、大変難しい課題ですが、できるだけご質問をお答えをしていくような形で進めたいと思います。
 一方、ソフトという面では、ご承知のとおり、マンション、あるいはいろんな形の開発指導要綱の中で再三申し上げておりますが、マンションが栄えて地域が崩壊するということはあってはいけないということで、さまざまなマンション等については協力要請ということで、例えばごみの出し方ですとか、あるいは自転車のあり方ですとか、それから防災の関係だとか、さまざまな形のことを実は要綱という中で、単体という中で実はご協力いただきながらやってきているという現状がございますので、そうしたことをさらに一歩進めていくということがこれからの課題だろうと思います。
 なお、詳細については関係理事者をもってご答弁をいたさせますし、あと、コミュニティ論については、何回か大串議員と議論は交わしておりますが、やや私と大串議員との議論がかみ合わないので、これは、これ以上ご答弁をすることは、ここでは差し控えさせていただきたいと思います。

<まちづくり推進部長答弁>

 大串議員のご質問にお答えいたします。

 まず、「都市計画法に基づくまちづくり条例」についてのご質問でございますが、地域課題を解決するためには、地域が主体的に取り組むための仕組みが必要であることは議員ご指摘のとおりであります。これまでも、地区計画の合意形成には早い段階から地域の方々との勉強会や説明会等を実施するほか、パブリックコメントによる意見聴取等、地域事情に応じた情報の共有化と参加の機会を設けておりますし、地域からの申し出を尊重して地区計画の取り組みを行ってきたところであります。
 ご指摘の都市計画法16条第3項、17条の2に定める条例は、住民等の発意による地区計画案の申し出方法等を条例で定められるとしたものでございますので、条例化を視野に入れて、千代田区の実情に合わせた制度設計を検討してまいります。
 いずれにいたしましても、条例化やマスタープランの改定等は、地域主体のまちづくりが基本であり、その取り組み方、仕組みづくりが重要ですので、これも検討してまいりたいと思います。

 次に、身近な都市計画という趣旨で幾つかご提案いただきました。
 まず、地区計画の手引についてでございますが、確かに議員ご指摘のとおり、都市計画の制度内容はなかなか理解しがたい言葉も多く使われております。専門的・技術的用語も数多く、わかりにくい部分が多くあります。多様な活用方法のある地区計画制度――地区計画制度についてもいろいろございますので、わかりやすい情報提供を考えていかなければならないと思っております。
 あわせて、地域のまちづくり情報につきましては、まちづくりの指標となる情報内容や模型の作成等、視覚的に提供する方法等につきまして検討してまいります。
 また、まちづくり教育ということでございますが、地域に目を向け、地域の課題を研究する中で、社会とかかわりながら人格形成につながるという、大切なことであると考えます。よくまちの中で、これまでも子供たちを対象として大学生がそういった活動をされている、子供の居場所づくりとか、子供たちの遊び場づくりとかといった中で、都市計画、まちづくりといったものをやっているということについては、私も一緒に参加させてもらったことも過去にございますので、よくわかります。今後、こういったことをNPOや大学等との連携を視野に入れながら、教育の場で生かす方法を模索してまいりたいと思います。よろしくお願いします。

<再質問>

 13番大串ひろやす、自席から再質問をさせていただきます。

 1点だけ、そうしたらマスタープランについて、答弁が余りにも簡単過ぎたというか、検討しますと言うだけで、その中身については触れていただけなかったんですけれども、マスタープランにはしっかり見直し規定も入っています。それから、近々に基本計画の見直しも日程に入ってくると思います。あれも10年ですからね。ですから、質問で指摘させていただきました基本構想・基本計画と一致できるようなマスタープランにしていくべきだというふうに思っております。ですので、こういう時期を逃してはいけないと私は思います。地区計画をつくるにしても、それから住民の合意を得るにしても、やはり千代田区としてのまちの将来像、理念、目指すべきビジョンというものをマスタープランにしっかり――今の時点でのマスタープランを用意することが区民のためになると思っております。ですので、この検討するということをもうちょっと詳しく、どう検討するのか等答えていただきたいと思います。
 以上で再質問を終わります。

<まちづくり推進部長答弁>

 都市計画マスタープランの改定ということでございますが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、マスタープランを改定するについても、やはりその仕組みづくり、どういった形でそれを取り組んでいくかというところが重要かと考えております。特に20年後を目指してつくった、10年前につくった都市計画マスタープランを大きく変更しなければ将来像が見えないという状況にないという認識も1つありますので、まずは地域の方々とどうやってやっていくのかというところを少し煮詰めていきたいと思っています。そうした中で、都市計画マスタープランの改定作業というものを進めていく方向になると思っております。


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