20年第4回定例会での代表質問

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<質問通告>

◆「区民生活の安心を支える」ために!

1.「貧困と格差」の問題に区としていかに取り組むのか、区長に基本的な考え方を問う
2.就労対策について
3.子どもの「教育機会の平等」について

<質問全文>

 平成20年第4回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。

 質問の主旨は、今まで経験したことのない現在の「不況」と「格差の拡大」という社会経済状況からいかにして区民の生活を守り、「区民生活の安心を支えて」いくのかという点を問うものであります。「貧困と格差の拡大」は、この2年間特に顕著となり社会問題となっています。そこへ今回の不況の到来ですから、区民生活に与えるその影響と不安ははかりしれないものがあります。今、改めて自治体として担うべき役割が問われていると思います。

 さて、なぜこのような「不況」と「格差の拡大」を同時に招くことになってしまったのかという点であります。
 今回の不況は、アメリカの証券会社リーマン・ブラザースの破綻、いわゆるリーマンショックに端を発した金融危機にその原因があるといわれています。それはこの9月に起こったことですが、またたくまに世界中に連鎖し金融だけに止まらず不況という深刻な状況を招くこととなりました。この間、世界の首脳が一同に会して金融政策の協調を決めましたが、それとて世界経済安定への解決策とはなりえていないのが現状であります。日本でも先月一月だけの倒産件数は1400社を超え、一ヶ月の内に実に8社も上場会社が倒産することは過去に例がありません。それだけ深刻な経済状況になっているということです。未だ景気回復への確かな道筋も見出せないままであります。
 このショックが起こる前の7月17日ですが、日経新聞の「大機小機」には注目すべき内容が書かれていました。タイトルは「2%成長の幸福を脅かすもの」となっています。後半部分を引用させていただきます。
 「このところ最も気になるのが、所得格差の拡大だ。金融に限らず、多くの業界が富裕層向けビジネスの開発・拡大に懸命だ。一方で非正規従業員の低賃金問題が大きな社会問題となっている。所得格差が限度を超えると、『平均的な市民の幸福感が損なわれ、人々は社会の一員であるという気持ちを失ってしまう』(ウィリアム・バーンスタイン「『豊かさ』の誕生」)これは先進国の歴史的経験である。20世紀初頭に最も豊かな国の一つだったアルゼンチンの没落は、貧富の格差の拡大がきっかけだった。2%成長を最も安定的に達成してきたはずの米国でさえも大恐慌の時代には革命の一歩手前までいったことがあるという。
 最近の様々な凶悪事件や社会現象の多くに、貧困や格差の問題が関係しているのではないだろうか。市場主義を基調にすべきだと主張するのはいいが、格差の拡大に歯止めをかけることも欠かせない。教育や税制、生活保障など社会制度の総点検が急がれる」と。
 投資アドバイザーであるウィリアム・バーンスタイン氏の分析をベースに書かれたものですが、2%成長の陰には所得格差の拡大がありそれを放置すれば「人々は社会の一員であるという気持ちを失い」それは、いくら現在富を集めて繁栄しているようでもいずれ「没落」する恐れがあると警鐘をならしたものです。「貧困と格差」の問題に単にセーフティネットを用意せよという次元ではなく、「市場」も大事だがもっと大切にしなくてはならないものがあるとの重要な指摘をされたものと理解しています。
 最初のなぜこのような「不況」と「格差の拡大」を同時に招いてしまったのかということですが、決して偶然ではないと予想したバーンスタインも素晴らしいと思いますが、そのことを事前に紹介し政策対応を求めた「大機小機」に敬意を表したいと思います。

 今この「貧困と格差」の問題に真正面から取り組み国民の不安を解消し、また「区民生活の安心を支えて」いかねばなりません。そのためには、国、都、区がそれぞれの果たすべき役割を明確にした上で、連携・協力しながらこの問題に取り組むことが必要であると考えます。
 この「貧困と格差」の問題については、OECD(経済協力開発機構)からの「対日経済審査報告書」の中で大きな課題として取り上げられています。2006年の報告書では「どうすれば不平等や貧困の拡大を反転できるのか?」、2008年の報告書では「どうすれば労働市場を改善できるのか?」とそれぞれ項を設けて言及しています。いずれも貧困や格差の原因として労働市場の二極化をあげています。そしてその改善を促すとともに、その格差の影響が子どもに及ぶことがあってはならないと警告を発しています。報告書にはこうあります。「10年前には全労働者の19%だった非正規労働者の割合は2006年には30%に増加した。(2008年には34%になって約1700万人)その賃金は、パートタイム労働者(非正規労働者の3/4を占めている)の時間当たり賃金は平均してフルタイム労働者の40%にすぎない」と。(2006年報告書)また「(労働市場の)二極化の進展により、労働経験が短く日本では重要な役割を果たしている企業内訓練が受けられないために能力を高める機会に恵まれない人々が若年層を中心に増えている。(中略)両者の間に移動がなく、非正規労働者の大半が低賃金労働から抜け出せない状況がさらに問題を難しくしている。」(2008年報告書)と分析しているのです。(小文字は大串)またOECD調査ということでは2000年ですからちょっと古い調査になりますが、17カ国について相対的貧困率の調査をしています。その平均は8.4%であり、一番悪かったアメリカが13.7%で日本は13.5%でワースト2という結果でした。
 また、先週発表された青少年白書には若者の就労の実態が報告されています。
 派遣や契約社員、フリーターなど非正規雇用の割合が増えており、十代後半ではここ15年間でその割合はなんと72%に倍増していると衝撃的な実態を報告しています。
 非正規雇用者の年齢別割合は
15歳〜19歳は今申した通り1992年の36%→2007年には72%に、同じように
20歳〜24歳は17%→43%へ
25歳〜29歳は12%→28%へ
30歳〜34歳は14%→26%と、15年前に比べた場合いずれも倍増しておりますが24歳以下の比率の高さには正直びっくりです。
 そして、国税庁は毎年9月に、民間給与実態統計調査の結果を発表しています。昨年の発表では、年収が生活保護水準並みしか(約200万円程度ですが)得られないワーキングプア(働く貧困層)は2006年に比べて42万人増えて1023万人となり、ついに1000万人を突破したと発表され、ニュースでも大きく取り上げられたことはご存知の通りです。ちなみに今年発表された調査でもさらに9万人増えて1032万人となったとしています。
 以上の各報告や発表により働く人の予想以上に深刻な実態が明らかになったと思います。役員を除いた雇用者数は約5100万人であり、内3人に1人は非正規雇用者で約1700万人。内3/4の1100万人がパートでありその賃金は正規雇用に比べて40%にすぎず、金額で約200万円以下の人はまた1000万人を超えている。つまり雇用されている人の5人に1人は働いてもまさに生活や住むための家賃さえ払うことがやっとというワーキングプアということになります。しかも、技術や職業能力を身につけることはできません。また非正規から正規への移動もできないというわけです。この他、270万人の失業者と失業者扱いにもされない62万人のニートの人たちもいるということです。
 このような貧困と格差は、その人を経済的な理由や仕事の理由などで排除し、結果、孤立へと追い込むことにならないか大変心配でもあります。生活する上での様々な問題や悩みなどあっても一人で悩み、誰にも相談できないという状況に追い込んでしまう可能性があるということです。いわゆる社会的排除の問題です。
 ややもすれば「貧困と格差」の問題やその原因となっている雇用の問題は、個人の責任と片付けられてしまいがちであります。個人の責任としてこのままなおざりにしたり放置したりすることは許されるものでもありません。この問題を行政課題として、最初にも申し上げた通り国、都、区にそれぞれの役割があり、連携しながら取り組むべきであります。「国においては、政府税制調査会において税と社会保障給付そして就労のインセンティブを一体にした「給付付き税額控除制度」 (参考@AB)の構築に向けて議論がなされると聞いています。(2007年11月の日経新聞より)現在のこのような社会経済状況であります。早期の実現を心から望むものであります。」
 区長は今回の招集挨拶で区の基本スタンスは「区民生活の安心を支える」ことであると明言し、「経済状況が大きく変化したことで、改めて区が担うべき役割を確認し、それを具体化するための施策の必要性が一段と高まって」いると述べられました。正にその通りであります。
 そこで、現在直面している「不況」と「貧困と格差」の問題、また雇用という問題に、区としてどう取り組まれようとしているのか、区長に基本的な考え方をお伺いいたします。

 次に、具体的な施策としての就労対策についてであります。
 「貧困と格差」の問題は、雇用政策と教育政策にその解決策があると考えます。それぞれ目先の緊急対策と中長期のしっかりした政策の両方が必要です。
 最初に雇用政策についてであります。雇用政策といえば都の政策というイメージが今もあります。その拠点はハローワークで、千代田区でいえばハローワーク飯田橋であります。区で行う就労対策は福祉の一環としての障害者の福祉作業所(ジョブ・・)であり、高齢者のシルバー人材センターであります。
 実は自治体の雇用政策に関しては国の法律改正がありました。2000年4月の「地方分権一括法」の施行と合わせ、改正雇用対策法が施行されたこと、また2003年の6月に職業安定法(職安法)が改正されたことであります。この二つの法改正は、地方自治体に自治事務としての雇用政策を可能にした画期的なものとなりました。
まず改正雇用対策法ですが、その第5条では、
 「地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ雇用に関する必要な施策を講じるように努めなければならない」とされました。これは都道府県が設置してきたハローワーク(公共職業安定所)が地方分権改革により国の機関となり、労働行政が国に一元化される一方で、国の権限に属さない雇用政策を地域の実情に応じて広く地方自治体が実施できるように改められたものです。そしてこの雇用政策の内容についてはそれぞれの自治体の裁量に委ねられることになりました。
 また第27条では国と地方公共団体との連携が定められています。
 「国及び地方公共団体は、国の行う職業指導及び職業紹介の事業等と地方公共団体の講ずる雇用に関する施策が密接な関連の下に円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力するものとする」と。
 一方、職安法の改正では、ハローワークで行っている職業紹介、斡旋が地方公共団体でもできるようになりました。
 「地方自治体は、当該地方自治体の施策に付帯する業務として無料職業紹介事業を行うことができる。云々」
と。つまり自治体はハローワークの無料職業紹介事業をもっぱらその事業を目的として実施することはできませんが、その自治体の福祉、子育て、中小企業支援、まちづくりなどをより実効性あるものにするためならば行うことができるようになったのです。
 この二つの法改正があったことで自治体に雇用行政に関する基本的な権限が与えられたことになり、真の意味で国、都、区の連携が初めて可能になったものと理解しています。
自治体の総合行政の中に雇用が組み込まれることは大変大きな意義があると思います。
 区を相談の窓口として、自治体に雇用・就労施策が必要であるということについて、近畿大学教授の奥田均氏は以下のように述べています。(大阪府人権協会ニュース2005年10月)
 「地方自治体が本格的に雇用・就労施策に乗り出すことの最大の魅力は、この課題の前進に『地方自治体の総合力』をいかんなく発揮することができるという点にあると思います。都道府県労働部とハローワークとのタイアップという従来の労働行政の枠組みからでは描けなかった新しい就労支援方策が誕生していく可能性が広がっています。いうまでもなく就労困難者は一人ひとり個性豊かな存在です。働きたい理由、希望する仕事や条件はそれぞれ違います。当然、就労を阻害してきた要因も人によって異なり、多様であり、複合的です。住宅の問題、家族の介護の問題、乳幼児の保育の問題、家庭内暴力や子育ての行き詰まりの問題、差別の問題、学歴や年齢の問題、さらには本人の心身の状況や技能、コミュニケーション力の課題など、単なる『求人求職のミスマッチ』では済まされない実に様々な問題が当事者の一身に絡み合い『働きたい』という切実な願いを踏みにじっています。(中略)だからこそ『働きたい』という就労の願いの解決にはハローワークの力だけでは不十分なのであり、様々な生活課題にかかわる総合力が必要なのです。就職困難者にあってはその必要性はなおさらではないでしょうか。(中略)『働く』とは、収入の確保にとどまるものではありません。就労支援の取り組みは、就労を困難にしてきた阻害要因によってともすれば排除や孤立を強いられてきた状況を変革し、これらの人々が正当にその地域にインクルージョン(包み支えあう)されていく営みになります。」と。
 自治体として雇用・就労施策を行っているところに、23区の中では唯一目黒区があります。法改正のあった年の2003年から雇用課を新たに設け就労支援を行っています。名称は「ワークサポートめぐろ」です。どのような取り組みを行っていて実績はどうなっているのか、大変興味がありました。さっそく私は訪問しお話を伺ってまいりました。場所は区役所の中にあり、ハローワーク渋谷の職員が来てハローワーク内にあるのと同じ端末が用意され、来られた方の就職相談にのっています。来られる方は子ども連れのお母さんが多いとのことです。また同じフロアではNPO法人がキャリア相談も行っています。そして各種講座も開設し、定員は4人で個別の指導ができるよう行っているそうです。毎週水曜日と金曜日に開かれますが、金曜日は女性及び若者向けとなっており、社会人としてのマナー講習からコミュニケーションスキルアップまで、いろいろなメニューを揃えています。実績の方ですが、昨年度一年間に相談に来られた人数と就職できた人数の比率は、ワークサポートの方が26%で、ハローワークの19%を7ポイント上回っているとのことでした。雇用課の職員の方は庁内各課との連携を図りながら来られる方のさらなる就労の支援をしていきたいと話されていました。
 雇用に関係する法律の改正があったこと、自治体における就労対策の重要性について述べ、また目黒区の先駆的な事例も紹介させていただきました。
 そこで、区としてこの就労対策に今後どのようにして取り組んでいこうとされるのか、お伺いいたします。

 次に、教育政策ですが、子どもの「教育機会の平等」について質問したいと思います。
この件については平成18年第3回定例会における代表質問にて「子ども優先の社会」を目指してと題して取り上げさせていただきました。
 「子ども優先の社会」実現のために必要なことは、一つは「教育機会の平等」の保障であり、もう一つは、子どもを主体とした新たな子ども観、すなわち子どもの視点が社会の隅々まで行き届いていることであると主張し、質問しました。そのときも「格差の拡大」についてあらゆる面で二極化が広がっていることを紹介し、その影響が決して子どもに及ぶことがあってはならない。子どもの「僕が僕であるために」また「もっと自分らしく生きたい」との叫びともいえる願いを私たち大人は叶えていく責任があると述べました。
 二極化の現象、そしてその二極化が階層化していく現象は最初に紹介したごとく年々拡大し、今日顕著になってきております。このような状況ゆえに改めて子どもに対する大人の責任は果たせているのか。また区としてその責任を果たせているのか、検証することが必要です。その際、憲法と教育基本法に謳われた「教育機会の平等」が保障されているのかという視点が大事であります。つまり、子どもの本来持っている能力と可能性を見出し育て、また子ども自らが気付き発揮できることが可能な機会を全ての子どもに保障していくことであります。子どもの能力や可能性とは学力のみではありません。芸術やスポーツを始め、調理や音楽制作また落語など全ての分野に及ぶことでしょう。よって「教育機会の平等」は子どもとの人間関係をベースに学校の他、地域、家庭、行政が目的を共有しながら連携していかなくてはできません。地域ということではNPOや企業、大学などの各分野の専門家・プロの方の協力は欠かせません。行政としても子ども教育部を中心にして文化学習スポーツ課、図書館、児童館、出張所など関係していきます。この際、全庁的に関係する施策を体系化し各課が連携しながら推進していけるようしてはどうでしょうか。
 具体的な事業としては、子どもが本物に触れ体験することができる「アーティスト・イン・スクール」があります。子どもたちに大変評判がよく平成19年度より予算を倍増されたこと大いに評価できるものです。また継続的に通うことも可能な各児童館で行っている専門の方に来ていただいての各種教室、また親の就労形態に関係なく全ての子どもを対象にした放課後子どもプランなどがあります。いずれの事業も「一人ひとりの能力や可能性を発見し、あなたはあなたらしく生きていいのよと、そのままを認めてあげる」子どもとの人間関係をもって推進していく大事な事業であると思います。どんなに素晴らしい事業であってもこの子どもとの人間関係なくしては「教育機会の平等」も図れないからです。
 そこで、区として子どもの「教育機会の平等」についての考え方と今後どのように施策を展開され、この「教育機会の平等」を図っていかれるのか、お伺いいたします。

 以上、今日の「不況」と「格差が拡大」する社会経済状況の中、区民の生活を守り、区民の不安をいかにして安心へと変えていけるのか、重要と思われる雇用と教育について質問をさせていただきました。
 「日本一短い『母』への手紙」は、福岡県丸岡町の企画ですが入選作を本にしたものです。人間関係が希薄になっている今日、とても良い企画を丸岡町はされたと思います。最後にこの中から一遍だけ引用させていただき質問を終わります。

「修学旅行を見送る私に
『ごめんな』とうつむいた母さん
あの時、僕平気だったんだよ」

以上であります。
 区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待しています。
 ありがとうございました。

<区長答弁>

 大串議員の質問にお答えいたします。

 貧困と格差について、例えば「貧困」という概念の定義もなかなか難しいし、評価が難しいわけですが、いずれにいたしましても、時代や社会の状況の変化に応じた改革というのは避けて通ることはできないと思います。
 今ご質問の中にありました100年前は、アルゼンチンは世界で最も豊かな国でありました。ある面では、それに安住したんだろうと思います。常に時代に合わせてさまざまな改革ということをむしろ私は怠った、そうしたことが今日のアルゼンチンの状況だろうと思います。
 今、我が国も、そうした意味では第二のアルゼンチンになるのではないかという、非常に危機感を持っている方が大変多うございます。そうした中で、何としましてもこうしたことをとらえて改革というものを進めていかなければいけない。改革の目的は、あくまでも私は格差とか貧困をなくすというのが本来の目的だろうと思います。そのためには、あらゆる人がチャンスを持てる、努力をしたら、それがちゃんと返ってくるという、そういう形の取り組みだろうと思います。ある面では、我々の社会、どちらかというと規制という中に、非常に既得権という中に枠組みがはまって今日の状況がつくられておりましたのを、それを何とか取り払って、さまざまな方がチャンスと機会を持てる、そうしたことが結果的には国の豊かさ、そして貧困と格差を是正することになるだろうというふうに思います。ある面では、改革というのが手段になってはいけない。何のために、何の目的のために行うのかということが私は重要だろうと思います。ある面では、改革というのは避けて通れないと思います。しかし、改革というスピードの速さや環境の変化に、さまざまな痛みと言ってよろしいでしょうか、ひずみが生じてくることも往々にしてあります。
 したがいまして、私は再三申し上げておりますが、区政という、こういうレベルでの改革を、時には足踏みをし、そして見直し、修正をし、そうした中からスタートをして、あるいは再スタートをしていかなきゃいけないということを再三申し上げております。その中で、区政がぎりぎりできることは、何回かも申し上げておりますように、安心安全というその基本は、私は区民の皆様方の生活を支えるという、福祉というのをしっかりととらえて、それを施策としてやっていくということが肝要だろうと思います。
 国政のレベルで見ますならば、私は、ぜひ、これから中長期的に見まして、社会保障だとか社会福祉を中長期的にきちっと組み立てをしていただくことが、国民にとって一番安心安全という社会になり、そして、結果として豊かな社会をつくることになるだろうと思います。その家庭では、大変産みの苦しみがあろうかと思います。私は、そういう意味で、国のさまざまな取り組みというのが、目的があくまでも豊かな社会をつくるための改革であるという理解のもとに、我々も、そうしたことを区政という場から進めていかなきゃいけないと思います。そして、ご承知のとおり、当面の状況の景気状況の中で、中小企業の皆様方へのさまざまな融資制度を通じた支援を取り組んでまいりましたが、これからも状況によって柔軟に対応してまいりたいと思います。
 そうした中で、私は、子供たちは我々の未来だという思いでございます。ぜひ、親の所得の格差が子供に伝わるというようなことは、私は避けなければならないという思いで、ご承知のとおり、高等学校が今は義務教育化しているということから、私のほうは、中高一貫校をつくらせていただいたわけでございます。中高一貫校は、ご承知のとおり、大変、教員の費用は単独で区費が持っているわけでございます。通常、小中学校は、ご承知のとおり、東京都の教育委員会が採用いたしますから、都費が大部分でございますが、高校部分は、実は都立高校の場合は都費でありますが、中高一貫校の場合は全額区費であります。私は、それでも、子供たちは我々の未来だと、そして、教育に関する親の所得の格差ということを子供に――何と申しますか、影響を与えないという意味で、こうした教育に関することについて、さまざまに子供のために私は区政として取り組むことが、将来的には子供たちへの格差と、あるいは学力の格差というものをつくらない、そうしたことの思いで九段の中高一貫校をつくっております。これは、区政というレベルでできることだろうと思います。
 今後も、区政におきまして、今日の状況を踏まえながら、セーフティネットという観点で、具体的な施策をこれからも取り組んでまいりたいと思います。

 その他の事項については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。

<区民生活部長答弁>

 大串議員の就労対策についてお答え申し上げます。
 職業紹介は、求人者が必要とする職業能力を持った人材を、求職者が持っている職業能力を生かし得る事業所への就職をあっせんすること、いわゆるマッチングを行わなければなりません。また、あわせて雇用保険事務、職業訓練のあっせん等も含めて広域的な対応が必要なため、現在、国や都道府県により行われており、区はハローワーク事業を広報千代田への掲載や事業の後援を行うことなどから、ハローワークと連携・協力して就労対策を行っているところでございます。
 ワークサポートめぐろは、ハローワーク相談室とキャリア相談コーナーからなる就労相談窓口で、目黒区の特殊事情を踏まえて設置されたものと認識しております。しかし、相談機能と講習機能が連携している点や、区民にとって身近な区役所内に専管組織として――雇用課という名前でございますが、専管組織として設置された点で、相談数や就職数がハローワークより高いというふうなことが言われておりまして、そういう点では、区においても学ぶべきものがあると認識しております。
 職業安定法改正により、平成16年3月から、地方公共団体が、みずからの施策に関する業務に附帯して行う無料職業事業につきましては、届け出をすることによって実施可能となりました。議員ご指摘のとおり、就労対策をハローワークと区民の最も身近な区が連携し、総合的な取り組みを図っていくことは大変重要なことと認識しております。今後、若年者、また子育てを終えたお母さんたち、障害者、シルバー等の就職、またその就職後の相談等のケアの仕組みをハローワークと綿密に連携し、スキルアップ講習や相談の充実などについて努めていくよう検討してまいります。

<こども・教育部長答弁>

 大串議員のご質問のうち、子供の教育機会の平等についてお答えいたします。

 学校教育では、子供にとって、自分の能力や可能性を見出し、伸ばしていくことができる適切な機会が等しく与えられていることが重要であり、確かな学力の定着は、まさに一人ひとりの能力や可能性を引き出し、伸ばしていくという考え方に基づいて行っております。
 また、本区では、同様な考え方に基づき、教育課程以外の活動においても、各種の事業を展開してきております。例えば本区では、芸術・スポーツ等本物のアーティスト、アスリート等にじかに触れる機会を多く持っております。アーティスト・イン・スクールでは、幼稚園、学校、保育園、児童館に本物の芸術家を派遣し、子供たちの豊かな感性と情操を育てていくことを推進しております。夢の課外授業では、スポーツや芸能などさまざまな分野で活躍している方を課外授業の先生として来ていただき、子供たちに「夢や希望を持って物事に挑戦すること」を考えるきっかけづくりを目的に行っております。また、関係機関との連携により、トップアスリート派遣指導事業として、運動分野で活躍している方を指導者として派遣していただき、講話や実技指導を通して、運動の大切さや健康な体をつくり維持するための、バランスのよい生活習慣や食生活についての指導を行っております。
 以上述べてまいりましたように、各分野の一流の専門家やアスリート等と直接触れ合い、多くを学ぶことができるよう、今後も、学校教育のみではなく、こども・教育部所管の各課、さらには区長部局の文化芸術振興を初めとする各部署においても、関係機関と十分連携し、一人ひとりの子供が本来持っている能力と可能性を伸ばすことができるよう、多様な機会を保障してまいりたいと存じます。

<再質問>

 13番大串ひろやす、自席から再質問をさせていただきます。

 1点だけ、雇用の問題についてお伺いしたいと思います。
 区長言われるように、100年に一度の不況、大変な状況にある。そういう中に、現在、日本の格差という問題もある。そういう中で、自治体として担うべき役割はあるだろうと。これは招集あいさつで区長も述べられたとおりです。ですので、私は、その中に新たに雇用というのが必要なのではないでしょうかという点から、雇用については法の改正があったこと、述べました。それから、雇用政策についてはしっかりした理念を持って中長期に取り組み、目先の援助もこれは大事ですけれども、中長期のそういったしっかりしたビジョンを持って自治体が取り組むことによって、この不況も、それから格差の問題の是正にもつながると申し上げました。
 ですから、部長は、答弁は、連携しながら今後も検討してやっていきますということですけれども、連携の、どのように連携するのかですね、どういう考え、政策に対する考えを持って、どう連携していくのかということが必要だと思います。ですので、今、ここで具体的にその課を設けろとか僕は言いませんけれども、少なくともその考え方、千代田区としての雇用に対する考え方、これをしっかりもう一度述べていただいて、今後の方向性もお伺いしたいと思います。

<区民生活部長答弁>

 大串議員の再質問にお答え申し上げます。

 この雇用の問題は、中長期的に見て、区の重要な施策の1つとしてとらえてまいります。その中でも、例えばこの雇用というものを直接でなくても、ただいまやっております子育てというふうな分野での、子供さんたちの成長ができたときにお母さんの就職の口とか、再雇用の道とか、そういうふうなもの、それは、我々は区の窓口として、対企業に対するあっせん場所として、あっせんというか、具体的な提案の場所としたり、また支援する場所としてやっております。今後も引き続き、区はハローワークと連携しながら、区も区の仕事として考え、対応してまいりたいと考えております。


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