21年第4回定例会での代表質問

<質問通告>

■「支え合いの社会」を目指して!

「支え合いの社会」すなわち「ユニバーサル社会」の構築は大きな課題となっている。そこで、
「ユニバーサル社会」構築について、区長に基本的な考え方を問う。
「ユニバーサルデザイン推進計画」を策定し、体系的かつ計画的に推進すべきと考えるが所見は。
音声コードについては、行政の作るパンフレットや文書に付けていくことになると思うが、現状と今後の予定は。

<質問の全文>

 平成21年第4回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。

 天皇陛下ご在位20年の慶祝行事は今月12日に行われましたが、その前日両陛下は記者会見に臨まれました。そこで話された内容は各紙に掲載されました。タイトルは朝日新聞、東京新聞は共に「皆が支え合う社会を」と、毎日新聞は「人々の支え合い願う」として紹介しています。今の世界と日本の現状そして今後のあるべき社会の姿を短くも的確に述べられました。私も読みまして大変感銘いたしました。ご在位20年をお祝いすると共に、両陛下のご健康とご長寿を心よりお祈りいたします。

 国としても自治体としても「支え合いの社会」をいかに構築していくのか、ということは今日大きなテーマであり課題となっています。 
 質問の主旨は、この「支え合いの社会」とはすなわち「ユニバーサル社会」であることを述べ、ユニバーサルデザインの視点から質問し、「支え合いの社会」構築への道筋をいくらかでも示すことができればということにあります。

 さて、この「支え合い」という言葉は、昨今福祉や防災また教育などあらゆる分野で使われています。区においても同様で、福祉では「高齢者の見守り事業」の中心的な概念として、防災では「連携し補完し合う」と、教育では「共に育つ共育」と、表現こそ違い「支え合い」と同じ意味だと思います。まさに、公共を共に担う際の重要なキーワードともなっています。
 この「支え合いの社会」の構築に必要な考え方であり手法としてユニバーサルデザインがあります。
 今月の5日と12日ですが、自治体としてその先進的な取り組みをしている世田谷区と浜松市を訪問し、お話をお伺いしてまいりました。
 浜松市は、条例や計画の策定などその取り組みはすでに10年になります。特に平成14年に制定されたユニバーサルデザイン条例は有名ですが、市民と事業者そして市がまさに協働してつくりあげたものです。自治体の多くの条例が「市は」とか「区は」「この条例を制定する」となっているのに対して、浜松市のその条例は前文に「私たちは・・この条例を制定します」と書かれました。ユニバーサルデザイン条例ならではの特徴がうかがわれます。
 担当課長からは、「これからの10年は、手法としてのユニバーサルデザインからあるべき姿としての『ユニバーサル社会』への取り組みを開始します。組織も『ユニバーサルデザイン推進課』からこの4月よりは『ユニバーサル社会・男女共同参画推進課』となりました。具体的な推進については、『もの』そして『建物』や『まちづくり』というハード面からのユニバーサルデザインからソフト面のユニバーサルデザインとしての『人づくり』と『社会づくり』つまり、地域で支え合うことができる社会へ力を入れていきます」と話されていたのがとても印象に残りました。特に、ユニバーサル社会つまり支え合いの社会づくりへの取り組みを開始していますとの言葉は衝撃でした。「支え合いの社会」とユニバーサルデザインはきっと関係しているとは予想していましたが、「支え合いの社会」と「ユニバーサル社会」がイコールであることを知ることができたことは今回訪問しての大きな成果となりました。4年に一回開催されるユニバーサルデザイン国際会議が、来年は浜松市で開催されることが決まっているそうです。どういう人たちが世界から来日されるのか今から楽しみでもあります。
 4年前に訪問した静岡県や今回の浜松市、世田谷区を始め、調べてみると他にも多くの自治体で「ユニバーサル社会」構築に既に取り組んでいることも知ることができました。
 自治体の他に、このユニバーサル社会の実現に積極的に取り組んでいる団体に「社会福祉法人プロップ・ステーション」があります。プロップ・ステーションは1991年に設立、98年に社会福祉法人になりました。プロップとはラグビー用語だそうですが、スクラムを組んだ際の第一列の両端のプレイヤーをいうそうです。障害がある人が就職することで社会の一端を担い、障害がない人とお互い支え合う存在を目指しています。支える人=障害のない人、支えられる人=障害がある人という固定的な線引きをなくす願いがこの名前には込められています。プロップ・ステーションは、約20年にわたり、チャレンジド(障がい者)がパソコンやインターネットなどを駆使して、在宅で介護を受けながらも働けるよう活動を続けています。団体の目標は「全ての人が、持てる力を発揮し、支え合うユニバーサル社会の実現を目指そう!」であります。
 ユニバーサル社会とはもう少し具体的にはどういう社会なのか、昨年都内で開かれたシンポジウム(プロップ・ステーション、読売新聞社主催「ユニバーサル社会の実現を目指そう」)でのプロップ・ステーション理事長の竹中ナミさんの言葉が非常にわかりやすいので以下ご紹介させていただきます。
 「『自分が持てる力を発揮し、誰からか(あるいは社会からか)期待される存在』である、というのは生きる誇りにつながることです。人は誰でも、他者に影響を与えうる存在なのに、それを周りから無視され続けられ、誰からも期待されない時、誇りを失います。つまりユニバーサル社会というのは、『どんな人の力も尊び、生かすことのできる社会』と同義語です。私は、35年前、重症心身障害の長女を授かりました。娘は『生後3カ月未満の精神発達』という判定を受け、今もまだ私を『母親』とはきちんと認識できない状態です。でも彼女を授からなければ“元ワルで非行少女のハシリとまで言われた私”が“プロップのナミねぇ”に育つことはあり得なかったわけですから『私は娘のおかげで更生した!』といっても過言ではありません。そんな私にとって娘は『かわいそうな存在』ではなく『誇らしい存在』です。彼女を通じて出会うことのできたたくさんのチャレンジドが、娘よりずっとずっとできることがあるのに、障がいを理由に『働けない人』『かわいそうな人』と決めつけられていることに私は疑問を感じずにはいられませんでした。
 『どうしたら一緒に学べるか』『一緒に働けるか』『支え合えるか』という視点を持ち『そうしたシステムを作り上げることこそが、ユニバーサル社会構築の一歩(や)』と気づいたことが、私のプロップ活動の出発点になっています。
 そんな私の究極の目的は『一人でも多くの人が、誇りを持って社会を支える側に回れるシステムを築き上げたい。私自身も娘を残して安心して死にたい!』ってことです。
 ユニバーサル社会の具定例をあげてみます。例えば、学校にスロープを付けることはバリアフリーです。“そこにチャレンジドが入学して生徒になるだけではなく教師にもなれる、校長先生にも、経営者にもなれる”チャンスとシステムがあるというのがユニバーサル社会です」と。つまり、障がい者は勿論、子どもから大人まで誰にもチャンスとシステムがある社会をユニバーサル社会である、と述べられています。
 実は、平成19年5月22日に区役所区民ホールにて、新庁舎移転を記念してMIW主催の講演会がありましたが、その講師として竹中ナミさんは来られています。レモンさんこと山本シュウ氏との対談講演です。(→テープ起こししたものを紹介)私もこれを読ましていただきましたが、大変感銘し勇気もでました。すばらしい対談の内容で全て紹介したいくらいです。冊子にしてできるだけ多くの人に読めるようにしたらどんなに勇気づけられる人がいるかわかりません。眠らしておくにはもったいない区の貴重な財産であります。
 さて、平成17年第3回定例会の公明党代表質問でもこのユニバーサルデザインを取り上げ、ユニバーサルデザイン推進計画の策定を始め、誰にもわかりやすい行政文書の作成、職員の意識改革について質問させていただきました。区長は答弁の中で、「ユニバーサル社会」の実現について以下のように述べられました。
 「従来、どちらかというと障害者のためのバリアの排除ということに重点が置かれたバリアフリーが中心でしたが、そうではなくて、年齢や性の違いあるいは障害の有無などにかかわりなく誰でもが快適に豊かな暮らしができるというそういう意味で普遍的な価値を実現していくということがユニバーサル社会である。したがって今日の社会で求められております少子高齢化社会に向けての施策あるいは男女共同参画に向けての施策も基本はユニバーサル社会というものをどう実現していくのかということであります。もう少し言葉をかえていうならば、それぞれの特性を個人が十分に生かしていける社会づくりであります。あらゆる行政の施策の基本になるものです。」と。
 このようにユニバーサル社会構築の必要性を述べられてより、早4年が経過いたしました。来年一月にはいよいよ「障がいのある方の地域での生活を支援する拠点としての施設」「えみふる」もオープンいたします。また新庁舎へ移転してから丸3年が経過いたします。この機に、ユニバーサル社会を目指して新たな決意でスタートしたいものです。
 そこで、ユニバーサル社会をいかにして構築していくのか、改めて区長に基本的な考え方をお伺いします。

 次に、ユニバーサルデザイン推進計画策定の必要性についてであります。
 まず、平成16年(2004年)6月16日の参議院本会議にて「ユニバーサル社会の形成促進に関する決議」が全会一致で可決成立していますが、改めてその内容を(抜粋になりますが)確認したいと思います。
「障害の有無、年齢等にかかわりなく、国民一人一人がそれぞれ対等な社会の構成員として、自立し相互にその人格を尊重しつつ支え合う社会(中略)すなわちユニバーサル社会の形成を目指していかなければならない。(中略)
 このような社会の形成を目指し、そのための総合的な社会環境の整備を進めることは、国会及び政府の重大な責務である。(中略)ユニバーサル社会の形成促進のため、その推進体制を確立するとともに、ユニバーサルデザインの考え方を啓発、障がい者及び高齢者に対する支援体制の整備、ユニバーサルデザイン化による製品や施設等の普及及び利用の促進等総合的な社会環境整備について必要な法制上及び財政上の措置を含めその取り組みを一層強化推進すべきである」と。ユニバーサル社会を目指していかねばならないことと、そのためには法律の制定と財源の担保、さらにハード・ソフト合わせた総合的な取り組みが必要なことを決議したものです。この決議を全会一致で可決成立した意義は誠に大きいのもがあります。現在、国においては党派を超えて議員立法による「ユニバーサル社会基本法」の成立に向けて準備中であると伺っています。早期の成立を期待するものです。またハード・ソフト合わせた総合的な取り組みにつては既に自治体レベルでは推進計画や指針を策定して取り組んでいることは先に述べた通りであります。
 浜松市の推進計画を例にしますと、期間は一期5年で(現在は2期目となっています。)分野別になっていますが、それは
1)優しい人づくり(啓発、教育、人材育成)
2)市民が自立できる社会づくり(雇用、情報、教育、NPO・ボランティア活動などに関すること)
3)安心・安全なまちづくり(交通、道路、公園などに関すること)
4)利用したくなる施設づくり(公共施設、民間施設、住宅等に関すること)
5)使ってみたくなるものづくり(製品の利用と開発)
の5分野となっております。これはそのまま五つの基本目標となり、この基本目標に基本施策があり数値目標が設定されています。例えば、1)優しい人づくりという目標には「ユニバーサルデザインを推進するリーダーの育成」など3つの基本施策があり、リーダーの育成としては現状の66人から23年度までに150人とすることが目標になっています。
 自治体としてユニバーサルデザイン推進計画または指針を定めているところは、だいたい同じようなつくりになっているのではないかと思います。ものや建物そしてまち(交通)というハード面から人づくりや社会づくりというソフト面まで含めた計画となっています。全て重要ですが、人づくりや社会づくりは今後特に注目される分野かと思います。それは竹中ナミさんのいうチャンスとシステムがある社会をいかに作っていくのかということにつながっていくからです。またこのことを可能にできるのもユニバーサルデザインが「連帯と協働のデザインである」(ユニバーサルデザインハンドブック日本語監修の言葉より)からであります。
 推進計画の必要性について、参議院での決議文と例として浜松市の推進計画を紹介させていただきました。
 そこで、区としてユニバーサルデザイン推進のための現状はどうなっているのか、またUD推進計画の策定を4年前にも提案させていただきましたが、再度提案させていただきます。ご所見をお伺いいたします。

 最後に、音声コード添付の全庁的な導入についてであります。
(→区の障害者のしおりを提示する。また町田市の広報の音声コードも提示し、読み上げ装置に通すと読み上げてくれることを説明する)
 音声コードの区民の利用するパンフレットやしおりそして行政文書への添付は情報のユニバーサルデザインです。つまり、紙の情報を「読む」ものからさらに「聞く」こともできるようにし、視覚障がい者の方を始め高齢者や外国人の方にも不自由なく情報を得ることができるようにするものです。世田谷区や静岡県では情報のユニバーサルデザインの中に規定し全庁的な導入を図っています。音声コードの添付をこのようにユニバーサルデザイン推進計画に規定したり、自治体によっては文書規定に入れて導入しています。
 この音声コードの添付については、国は自治体への補助事業として平成18年度から実施しています。事業名は「視覚障害者等情報支援緊急整備事業」、補助率は10/10で一自治体導入経費100万円、研修経費30万円です。期間は延長され23年度までとなっています。
音声コードを添付した場合の期待される効果としては、最初の述べた以外に          
1)音声コードを視覚障がい者も作成できることによる就労支援(町田市が既に行っています)
2)税・年金・銀行通帳・薬剤情報等のプライバシー情報の提供が促進される
などであります。
 さらに朗報もあります。それは、これまで普及のネックとなっていた高額な読み上げ装置、一台約10万円もするのですが、来年度からは携帯での読み上げが可能となるそうです。まさにユニバーサルデザイン、UD対応商品としての携帯の誕生です。
 私個人としては、「環境に優しいエコ」と「人に優しいUD」はセットで推進すべきと考えています。エコポイント同様UDにもポイント制度も設けてポイントどうしの互換性を持たせてはどうでしょうか。そうすれば貯まったポイントでUD携帯を購入できます。UD対応の商品や住宅にもエコ製品同様の補助制度を設けてもよいと思います。ユニバーサルデザインの考え方の普及・啓発は一気に進むことになるでしょう。
 このことはさておき、区においても、今後音声コードを障害者のしおりのみでなく広く区民の利用するパンフレットや行政文書などに添付していく必要があると思います。
 そこで、音声コードの添付をユニバーサルデザインの規定に定め全庁的に推進すべきと思いますがいかがでしょうか。お伺いいたします。

 以上、「支え合いの社会」すなわち「ユニバーサル社会」の構築を目指して3点の質問をさせていただきました。
 前向きで明快な答弁を期待して質問を終わります。
 ありがとうございました。

<区長答弁>

 大串議員のユニバーサル社会に関するご質問にお答えいたします。

 私も何回かこの点では本会議で答弁をしておりまして、基本的には考え方は変わっておりません。その中で、ご質問をお聞きしておりまして、アメリカのケネディ大統領が就任のときに、これからの社会のありようは、国家が国民に何をするかだけではなくて、国民も身近なところで何ができるかという社会であるべきだということを就任のときに言ったと思います。これを今日的な言い方でとらえるならば、共同参画社会だと。この共同というのは、力を3つ合わせた共同参画社会。我々が、どちらかというと、共同参画というのが健常者を意識した言葉でとらえがちですが、そうではなくて、ご質問のように、健常者も障害をお持ちの方も、一緒に学び、働き、ともに支え合う、そして活動すると、こういうのが本来の共同参画社会だろうと思います。このことをきちっと行うための普遍的な価値が、まさにユニバーサルデザインだというふうに私は思います。
 ユニバーサルデザインは、お話にもありましたように、どんな人でも公平に使える、あるいは身体への負担がかかりづらいこと、使う上での自由度が高いこと、必要な情報がすぐ理解できる、まさにこうした7つの原則があるわけですけど、このユニバーサルデザインというのは共同参画社会をつくる普遍的な価値だというふうに私は思います。そのためには、お話にもありましたように、だれでもがチャンスができるというシステムをつくっていくというためには、単にハードだけではなくて、ソフトを含めて、すべての人が安心して、安全、そして、自分自身が価値を生めるような社会の仕組みというのは、私は基本的に必要だろうと思います。当面、さまざまなバリアを取り払うためのご質問がございまして、ホームページ等、あるいは広報等、こうした点についても、まさに共同参画という、そういう視点から見ますと、やっていくということは私は当然のことだろうと思います。いずれにいたしましても、今後の展開につきましては、関係理事者をもって答弁をいたさせますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

<政策推進担当部長答弁>

 大串議員のユニバーサルデザインに関するご質問にお答えいたします。

 まず、推進計画関係ですけれども、現在、庁内向けの「ユニバーサルデザイン・ガイドライン」の策定作業を進めており、本年度中には取りまとめる予定でおります。総点検につきましては、ガイドライン策定後に、ハード、ソフト、両面にわたる点検を実施し、改善を行ってまいりたいと考えております。また、「ユニバーサルデザイン推進計画」ですが、「ガイドライン」を策定し、広く庁内にユニバーサルデザインの考え方を浸透させ、問題点を抽出した上で、早い時期に区民の皆様や区内の事業者にもユニバーサルデザインの考え方を積極的に広めてまいりたいと考えております。

 次に、視覚障害者向けに行政が作成する印刷物等への音声コードの導入の状況と今後の予定についてのご質問ですが、区では、音声コードの一種であるSPコードを印刷するためのソフトウエアを保有しており、関係各部署に利用を呼びかけております。20年12月に発行いたしました、先ほどの「障害者福祉のしおり」に音声コードの印刷を行い、区の印刷物への導入を開始いたしました。今後は、さきに申し上げました「ガイドライン」の中に位置づけ、区が発行する冊子等に積極的に導入してまいりたいと考えております。
 また、議員ご案内の携帯型の音声コード読み上げ装置につきましては、区といたしましても積極的に情報収集に努め、活用のあり方を研究してまいります。