28年第3回定例会での代表質問

〈質問通告〉

これからのまちづくりについて
都市計画に関して23 区にはほとんどその権限がない。地区計画など限られた権限をフルに活用してまちづくりを進めねばならない。また、漢字の都市計画の限界を踏まえ、ひらがなのまちづくりを行っていくことが必要である。そこで、
まちづくりに関して基本的な考え方を問う。
区はまちづくりに必要な総合性をどう発揮していくのか。
まちづくりの主人公は住民である。まちづくりの主体性をどう育んでいくのか。
20 年を迎える都市計画マスタープランについて、
まちづくりに関しての成果と課題は何か。
また見直しにあたっての方針は。
具体策として、
公共空間の活用について。
まちづくりサポーター養成講座の開設を提案する。所見は。
 

〈質問の全文〉

 平成28年第3回定例会に当たり、公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問の趣旨は、23区そうでありますが、区としての都市計画上の権限が今日に至るもほとんどない中で、限られた権限をいかに使い、これからのまちづくりを行っていくのか、という点にあります。特に、法政大学名誉教授でありました田村明氏が提案された、漢字の都市計画から、平仮名のまちづくりへとの視点から質問をさせていただきます。
 画像を出してください。(スクリーンを資料画面に切り替え)田村明氏の写真でございますが、田村明記念まちづくり研究会さんのほうの了解を得て、使用させてもらいました。田村氏は、日本の都市計画の第一人者で、今では当たり前になっている、平仮名のまちづくりを最初に使用し、全国に広められた方であります。じゃあ、閉じていただいて。(スクリーンを元に戻す)
 さて、都市計画でございますが、大きくは3つのことが書かれているとされます。1つは、都市計画をする地域を定めること。専門用語でいうと、市街化区域と市街化調整区域を決めること、いわゆる「線引き」であります。2つ目は、土地利用の方法を定めること。今では、土地利用の種類は12種類に分類されています。専門用語では用途地域と言いますが、地域にふさわしい土地の利用を決めていくことであります。そして3番目が、市街化区域における直接の事業について書かれています。市街地開発事業と総称され、例えば、土地区画整理事業や市街地再開発事業などであります。では、これらを決める権限を誰が持っているのかということについてでありますが、最初にその経緯も含めて、若干触れておきたいと思います。
 戦前、大正8年制定の旧都市計画法では、そもそも権限の全てが国にあり、各所管の大臣が決定します。市町村にその権限はありません。内容においても、河川、運河、道路、上下水道と、それぞれ縦割りの法があり、優先されます。よって、本来の都市づくりの基本法としての位置づけからはほど遠いものでありました。戦後23年を経て、昭和43年にようやく都市計画法の全面改正が行われました。これは、東京オリンピックが昭和39年でしたが、昭和30年代からの高度成長により急激な都市化が起こります。「都市の膨張」であります。道路や公園などの都市施設の計画的な整備・維持もできません。川や公園の上を走る高速道路はその典型でしょう。また、無秩序な土地利用は、都市に多くの混乱を招きました。このため都市計画法を改正し、適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図ることが急がれたのであります。
 都市における土地利用計画の確立、つまり、線引きと、それに伴う開発許可制度ができたこと。また、実効性を上げるために、権限を国から都道府県と市町村へ委譲したことの2点が大きな改正点であります。旧法からすれば、画期的な改正となりました。2年後、その土地利用の種類として、用途地域8種類が用意され、セットとして容積制も決まります。この用途地域の決定は、容積のほか、高さ、建蔽率、形態なども連動した幅広い内容を持っていることが特徴であります。住民や地域に直接影響があります。よって、大変重要であり、地域のルールといってもよいくらいであります。現在は12種類となっており、5年に1回、23区では東京都が見直しを行い、決定します。(スクリーンを資料画面に切り替え)
 ちなみに、千代田区の用途地域はこうなっております。千代田区の用途地域の種類は、第一種住居地域と第二種住居地域、そして商業地域の3種類となっております。色分けされていますが、用途地域と容積との組み合わせにより何段階にも分かれているのが特徴であります。それを色分けしたのがこの地図になります。(スクリーンを元に戻す)
 法は改正されましたが、残念ながら、23区に限っては、市と同様にその権限が委譲されたわけではなく、今日に至るも、都がその権限を持っております。区民と直接の関係にあり、地域の具体的な事情もわかっている区に、都市計画の権限がないということは、どういうことなのか。23区に限っては、行政として、都市計画における総合性や主体性を発揮するための独自の仕組みを考える必要があるかもしれません。改正された新都市計画法について、田村氏は、その内容を評価しながらも、自治体の総合性と主体性という問題は残されたままである、と指摘しています。「新法において、旧法に比べて確かに体系的に整理され、計画の内容も項目として具体的に示された。しかし、体系的に名称が上がっているからといって、十分主体的にこれらを総合化するものはおらず、実質的には、各省庁によって縦割り的に定められ、ただ、手続として都市計画決定という形式を経由するという程度にとどまっている。法の形式的整合性はあっても、都市計画の実質的総合性は相変わらず欠けているのである」と。
 述べられたのは、今から40年も前でありますが、今でもその指摘は当てはまりそうです。コミュニティや防災、学校と公園、道路と街路樹、交通や歩いて暮らせるまちづくりなど、まちづくりに関して、これらを縦割りでばらばらに進めるのではなく、総合性を発揮し、かつ中長期的な視点を持って一体的に行わなくてはなりません。
 主体性の問題について、こう述べております。「国の許可は消極的なチェックにとどめるべきで、本来の計画主体としての市町村を中心とする自治体を育てるべきである。一番身近な市町村が責任ある計画主体、調整主体として機能しなければ、十分実効を上げる都市計画は困難になってしまうのである」と。さらに、「市民も単なる欲求型に終わらず、自らの環境を市民全体の共同責任で創ってゆく立場から相互のルールとして土地利用やまちづくりを考えてゆくべきである」と。
 田村氏は、横浜市の技監であった昭和39年ごろから、漢字の都市計画に対して、平仮名のまちづくりを意識的に用い、「まちづくり」という考え方を全国に発信し、広めていきます。このことについて、最近、平成21年ですけれども、東京の現状にも触れながら述べております。「これまでの官主導型の都市計画では、中央の指令のもとに画一的に全国を統制し、市民や自治体は相手にされなかった。そこで、私は、市民も自覚と責任を持って加わる「まちづくり」を提唱してきた。ここで「まち」とは、ハードな装置ばかりでなく、そこで豊かに生活できる社会のあり方など、ソフトを含める。東京にも「まち」がなければならないのは当然だが、これまでの都市計画はハード偏重で、「まちづくり」という発想がなかった。他人に干渉されない自由度のある都市生活は評価される面もあるが、そこでは、人間同士のつながりは弱く、住宅は高層ビル化し、各戸は孤立する。この状況では、都市に住む人々は地域に対する愛着もなく、責任感も持たず、孤立し浮遊している。便利になった都市生活は、それでも日常的に支障はないので、個人はますます地域から浮き上がっている。90年も前に東京市長になった後藤新平は、「自分一人では東京はよくならない。全市民が間借り人ではなく、市長のつもりでいなければ、この都市を運営できるものではない」という趣旨の演説を行った。都市がよりよく運営されるのは、「まち」意識を持った市民だということだ」と。まさにそのとおりであります。私も同感であります。田村氏の言葉を引用しながら、平仮名のまちづくりの重要性について述べさせていただきました。
 さて、この平仮名のまちづくりということの1つは、地区計画制度であります。
 地区計画制度ができたのは、昭和55年に都市計画法と建築基準法の改正によってであります。制度上のつくりとしては、それまでとは明らかに異質のものであるとされています。上からの統制とは全く逆であるからです。自分たちの地域、まちをよくするために、住民の合意に基づいて一定のルールを定めましょうというものです。住民の意識の高まりの中で、住民の「自覚と責任を持って加わるまちづくり」の制度であり、「ハードのみでなくソフトも含む」まちづくりの制度であります。(スクリーンを資料画面に切り替え)
 これは地区計画図でございます。千代田区では、一般型と緩和型。緩和型のほうは千代田区型と言われておりますけども、合わせて現在38地区にかかっています。23区中、完了した実績数では断トツであります。決して一律ではない地域ごと、個性を生かした地区計画となっています。ここまで至るには相当の努力があったことと思います。(スクリーンを元に戻す)この地区計画のほか、地区計画を補完する地域独自のルールを皆で定めてもよいと思います。千代田区では、今後、多くのマンションが更新時期を迎えます。建てかえの際、決められた範囲内で容積いっぱいに建て、少しでも自分たちの負担を減らしたいと考えるのは当然です。しかし、経済性や利便性のみではよいまちはできません。区の都市計画マスタープランにはそのことが書かれております。そして、加えるべきは、「心の豊かさに重きを置いたまち」づくりであるとします。例えば、よいまちなみ、また、にぎわいや緑豊かな沿道空間は、まさに「心の豊かさに」通ずるまちづくりになるのではないでしょうか。
 これらのまちなみや沿道空間は、地域住民の、また区民の共有財産でもあります。よいまちなみや豊かな沿道空間は、沿道に隣接している建物の価値を増すことにもなるでしょう。単体の改築や開発だけでは生み出すことのできない価値であります。欧米では、まちなみが住民の共有財産であるという意識が高いと聞いております。これからオリンピックを迎える日本も、ぜひそうでありたいと思います。平仮名のまちづくりにより、よりよいまちをつくっていかねばなりません。多くの区民の願いでもあります。
 都市計画について、区の権限は限られていること、また、まちづくりにおける自治体の総合性と主体性の問題、そして、それらを含めて、漢字の都市計画から平仮名のまちづくりへの転換が必要であることを述べさせていただきました。
 そこで、3点お伺いします。
 区長に、これからのまちづくりについて、基本的な考え方をお伺いします。また、まちづくりにおいて、区はどのように総合性と主体性を発揮していくのか。さらに、地区計画制度について、区の考え方と、ソフト面からは地区計画がかかった後の地域のことも大事となりますので、どのようにまちづくりを継続していくのかお伺いいたします。

 次に、都市計画マスタープランについてであります。
 平成10年3月に千代田区都市計画マスタープランが策定され、目標年次とされた平成30年も近くなってまいりました。区として何に危機感を持ったのかを述べ、具体的な課題を提示し、おおむね20年先を目指し、その解決のためのまちづくりに関する大きな方針を示したものであります。
 危機感ということでは、冒頭の「背景」のところにその記述があります。「経済効率を優先した都市開発により定住人口は激減」と。それを受けて「将来像」には、「機能性や効率性、経済を重視するまちづくりからゆとりや快適性など生活の質を重視するまちづくりへの転換を進め、心の豊かさを実感できるまちとしていきます」と、今後のまちづくりの方向性を明確にしております。先ほど少し触れたところでもあります。
 結果としての人口減少も問題ですが、経済効率を過度に重視したまちづくりに警鐘を鳴らし、機能性、効率性、経済性重視のまちづくりから心の豊かさを実感できるまちづくりへの転換を明確にしたことが、平成10年マスタープランであったと私は認識しております。そして、ハード偏重ではなく、まちなみやにぎわいのある市街地、またコミュニティなどのソフト面に重きを置いたプランとなっていることが特徴であります。さらに、区民にまちづくりへの参加を促し、巻末に参加のためのフローチャートもつけています。「心の豊かさ」という言葉も使われました。とてもよい言葉であります。田村氏も述べていましたが、科学技術の進歩や富を手に入れることが必ずしも「心の豊かさ」につながるとは限りません。物の豊かさや便利さ、快適さを手にしたことによって、むしろ心を貧しくしてきたかもしれません。だからこそ、「経済を重視するまちづくり」から「心の豊かさを実感できるまちへ」をまちづくりの大きな方針としたものと理解しております。課題認識も的確でしたし、その解決のための方針も、将来を見据えたまことに的確なものであったと言えます。20年も前に、既にこのような内容をマスタープランとして明らかにしたことに、改めて敬意を表したいと思います。
 そこで、都市計画マスタープランについて、計画期間の20年が近くなってきましたが、まちづくりに関しての成果と課題をどのように認識されているのかお伺いいたします。また、改定に当たっての見直し方針について、現在の千代田区の都市としての現状について、危機意識や課題をどう認識しているのかは大変重要となります。その認識が見直し方針のベースともなるからです。おおむね20年先を目指し、これからのまちづくりについての方針はどのようなものになるのかお伺いいたします。

 次に、具体策についてであります。
 これからのまちづくりに当たっての具体的事項としては、「豊かな沿道空間」の形成について。まちづくりとリンクした交通計画の策定。歩いて暮らせるまちづくり。防災まちづくり。まちづくり教育。まちづくりサポーターの養成などが考えられますが、「豊かな沿道空間」の形成とまちづくりサポーターの養成の2点について質問させていただきます。
 最初に、豊かな沿道空間の形成についてであります。今回、まちづくりについて質問するに当たり、代官山の代官山ステキなまちづくり協議会を訪ね、説明を聞くことができました。現場も見ることができ、大変参考となりました。特に印象的だったのは、代官山の旧山手通りと八幡通りであります。旧山手通りには、シンボルとしてヒルサイドテラスや蔦屋書店のTサイトがあります。自然と足が道に沿って進みます。沿道にはカフェや個性的な店舗が続きます。わくわく感があり、多くの人々が行き交うにぎわいもあります。まさににぎわい豊かな沿道空間と言えます。
 代官山には、まち歩きコースがあり、1カ月に1回ですが、代官山コンシェルジュの方が沿道を案内してくれています。毎月、コースは異なりますが、ヒルサイドテラスと旧山手通りコース、八幡通り界隈路地裏コース、代官山歴史探訪コース、こだわりのカフェツアーなどがあります。自分たちのまちとまちづくりに誇りを持っているからこそできることであると思います。
 このような豊かな沿道空間の形成は、道路管理者の区、沿道関係者、交通管理者、商店会、住民などで構成する協議会を設置し、「地区計画」と同様の「○○通り沿道計画もしくはガイドライン」を策定し、進めていくことが必要かと思います。住民や沿道関係者などの主体性と区の総合性を持って、その通りにふさわしい、魅力のある豊かな沿道空間をぜひともつくっていきたいものであります。代官山協議会の事務長は、「50年先を目指しています」「まちづくりとは信頼である」と述べていました。また、沿道のにぎわいについては、「無言のコミュニケーション」という言葉も使われていました。歩きながら心地よい空間を共有していることで、お互いコミュニケーションが図れるという意味だと思います。とてもすばらしいことであります。このようなにぎわい豊かな沿道空間または緑豊かな沿道空間は、誰もが望むことでしょう。区として豊かな沿道空間を形成していくことは極めて重要なことであります。「心の豊かさを実感できるまち」の1つであるからです。沿道空間形成のための指針を策定し、広く区民に示し、推進していってはどうでしょうか。
 そこで、区として、豊かな沿道空間の形成に今後どのようにして取り組んでいくのか、お伺いいたします。また、「(仮称)豊かな沿道空間形成指針」の策定を提案いたします。ご所見をお伺いいたします。

 次に、まちづくりサポーターの養成についてであります。
 まちづくりにおいて、住民の主体性が大事であることは既に述べました。では、その主体性をどう育むのかということについて、提案があります。それは、「(仮称)まちづくりサポーター養成講座」の開設であります。まちづくりに関して意欲のある方、関心のある方を対象に講座受講者を募り、建築士や設計士のような専門の資格とまではいかなくとも、まちづくりに関して基礎的な知識を学んでもらいます。まちづくりですから、参考となる地域を視察するのもよいと思います。また、千代田区には多くの大学があります。まちづくり系やデザイン系のゼミもあると聞いています。大学に協力をお願いし、オープン型ワークショップ、学生以外の方も参加できる体験型講座講習会を行いながら、サポーターとしての知識と経験を積んでもらうのも方法であります。
 地域にまちづくりサポーターの方々が誕生することによって、住民の方が地域のまちづくりに関して知りたい情報や知識をサポーターの方は、区と連携を図り、提供することが可能となります。また、講師を招いての勉強会を企画し運営することも、できることになります。行政への要求型まちづくりから、主体的なまちづくりへの転換が可能となるのではないでしょうか。そこで、まちづくり養成講座の開設を提案します。ご所見をお伺いいたします。

 以上、「心の豊かさを実感できるまち」の実現へ、これからのまちづくりと題し、質問をさせていただきました。区長並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
 

以下からの文章は未定稿です。

〈区長答弁〉

 大串議員のまちづくりの基本的な考え方について、お答えを申し上げます。
 ご質問の中で、改めて都市計画の、あるいは都市計画法の変遷についてお話をいただきまして、私も当時、都政の場でそうしたことを考えながら、区政というまちづくりを考えているわけでございます。
 例えば昭和39年に東京オリンピックが開催され、そして、その後、東京はさまざまに開発あるいは膨張ということがあったわけでございます。そのために、昭和43年にお話のように初めて都市計画法が改正され、そして、合理的な土地利用あるいはさまざまな許認可というものを制度として組み込み、かつ、できるだけそうした権限を都道府県から市町村に移譲しようというのが昭和43年の都市計画法の改正だろうと思います。しかし残念なことに、区にはほとんどそうしたものの権能が与えられなかったことが現実でございます。しかし、そうした中で、もう一つ、時代の背景として考えなきゃいけないのは、やはりまちづくりは地域からの発意でなきゃならないと、こういう思いがありまして、昭和55年に、大串議員ご承知のとおり、地区計画制度が導入されたわけでございます。これは大変貴重な制度でありまして、この部分については、地域からまちづくりの考え方を発意しようということで、これは特別区にも役割を持たされたということだろうと思います。そうしたことを考えながら、区政は、改めてまちづくりについて、私なりに考え方を申し上げたいと思います。
 そもそも、まちづくりとは、都市に住み、働き集う、多様な人々のあらゆる営みを総合的に支える仕組みであろうと思います。その実現の手法の1つとして、都市計画があるんだろうと思います。多分そういう思いでご質問をされたというふうに私は思っております。また、それは、当事者である住民が、今あるまちの課題を、将来に向けて解決していく過程でもある。コミュニティや防災、子育て、福祉等、それぞれの領域の課題がまちの中で有機的に連携していくことが、まちづくりに求められている総合性であろうと思います。したがって、まちをつくる主体は、冒頭申し上げましたように、主体と申しますか当事者は、あくまでも住民だというふうに思います。そういう意味で、地区計画制度はでき上がっていると思います。
 私はそのことを基本に、まちづくりに取り組んでいるわけでございまして、区はそうした動き、考え方にサポートをする、あるいは総合調整という役割だろうと思います。現実にまちづくりを進めるに当たりましては、都市計画権限も税制上も、特別区は制約を受けている。そうした中で、区が活用できる最大の、ある面では武器は、地区計画制度だろうと思いますし、大串議員も全く同じ認識だろうと思います。で、これは、地区計画制度は、ご承知のとおり、都市計画制度の中で、大変地域の参加という意味では二重に手続をとっております。地権者の合意ということで16条があり、そして関係者の合意ということで17条、あるいは逆かもわかりませんけど、2回、都市計画の手続をとるというのは、通常の都市計画の都市計画決定の中ではないぐらいの、かなり地域合意をとりながら地区計画をつくるという制度であります。
 この思いは、まさにまちづくりというのは、地域からの発意でつくっていくべきだということだろうと思います。区は、その地区計画制度の策定の過程において、現在の地域の課題と目指すべき将来像の共有化を図り、将来像への道筋を示すためのルールを形成することになるだろうと思います。その共有されたルールによって、開発や、さまざまなまちの変化をいわゆるコントロールすることにもなるかもわかりません。しかし、まちの持続的な繁栄は、地区計画のルールのみでは維持できないわけでございます。住民自身がまちの魅力をつくり、発信するためには、まちを運営するいわゆるマネジメントの意識が、具体的な意識と具体的な行動が必要だろうと思います。
 確かに、住民は、日々の生活の中でまちという面の環境を意識することは大変難しい。しかし、区内では既に幾つかの地域で、どちらかというと、タウンマネジメントみたいな形が萌芽しております。区としては、地域で起こる開発等の機会を捉えて、さまざまにご支援あるいはバックアップをさせていただきながら、地域からの発意でまちづくりをするということを、これからも積極的に進めてまいりたいと思います。
なお、詳細については、関係理事者をもってご答弁をいたさせます。
 

〈まちづくり担当部長答弁〉

 大串議員のご質問のうち、まず都市計画マスタープランについてお答えいたします。
 都市計画マスタープランは、区のまちづくりの理念あるいは都市の基本的な骨格、地域特性に応じたまちづくり方向性を示したものでございます。このマスタープランの方向性をベースに、地域の詳細計画として地区計画を策定し、まちなみ形成や個別具体の開発プロジェクトを、その時代に即して誘導するということになります。現行の都市計画マスタープランは、策定当時、区内業務地化の圧力が大変強く、定住人口の減少により生活環境が悪化をしており、そういった状況を脱するために、人口回復とそのための良好な都市基盤の整備を強く打ち出しております。また、少子高齢化への対応、都市型災害への対応、環境問題への取り組みなど、区民のさまざまな活動を支える都市の基盤づくりを目指しており、このことは議員ご指摘のとおり、ソフトを意識したハード整備の方向性であり、今日においてもなお変わらないものと考えております。
 ご質問の、成果と将来に向けた課題認識でございますが、まちに関する評価は、数値として示せるものももちろんありますが、豊かさの実感といった定性的な要素も多分にあり、現在、作業に苦慮しているところでございます。一定の整理ができた段階でお示しさせていただきたいと思います。
また、将来に向けて課題の認識としましては、やはり超高齢社会への対応、そして子育て環境の整備、災害対策、地球規模の環境問題への対応など、区民の安全・安心を支える都市基盤の構築は、従来にも増して、強く打ち出す必要があると思います。
 次に、豊かな沿道空間の形成についてですが、道路は、かつては子どもたちの遊び場であり、近隣の人たちの憩いや交流の場として、地域コミュニティを創出する上で大変貴重な空間でありましたが、自動車の交通機能が優先され、多目的な用途に活用されなくなった現状がございました。しかしながら、近年、まちのにぎわい創出、回遊性向上、魅力の向上を目的に、道路及び沿道の公開空地等の多目的な利用が制度的にも認められてきております。車社会から人優先の社会認識が一層進むことが予想されます。
 区内でも、既にルールを定め、道路と沿道の空地等での多目的な利活用の試みが始まっている地区もありますが、いずれにしましても、地域の方々がそういった公共空間としての道の利活用、そして維持管理について責任を持つということが大事でございます。沿道の機能更新等の機会を捉え、地域と協議をしてまいりたいと思います。
 また、沿道空間形成指針策定のご提案でございますが、区民の意識啓発の意味、大変大きいと思います。しかし、現在のところ、まちと連動して協議することがより効果的であるということから、地区計画あるいは電線類の地中化等による道路整備の機会を捉えてアダプト制度の導入など、個別具体に協議をしております。今後、一定の実績のもとで、その指針について検討してまいります。
 次に、まちづくりサポーター養成講座開設のご提案についてです。
 ご指摘のように、住民の主体性なしに、まちづくりは進みません。関心のある人材を育てることが大切であることもそのとおりであると思います。区内には大学企業の研究機関あるいはさまざまな分野の専門家が多数存在していることから、多様な視点からまちを議論することが可能な環境にあるのはご指摘のとおりでございます。ご提案の趣旨を踏まえ、人材交流、学習の機会について、今後検討してまいります。
 

〈再質問〉

 5番大串ひろやす、自席より質問させていただきます。
 答弁としては、まあ前向きに答弁していただいたんだろうというふうに思っておりますけれども、もう少し、何ていうんですかね、千代田区としてのまちづくりはこうだというものを期待したいところでもあるんですけれども、地区計画にしても、それから沿道に対する考え方でも、ごく一般的なところが述べられてはいるんですけれども、田村明先生がお話しになられた平仮名の「まちづくり」、それから、マスタープランにありました、「心の豊かさを実感できるまちづくり」。こういったものというのは、僕は非常にこれからのまちづくりにおいて大切である。しかも、都心である、都心千代田区であればこそ、そういった姿勢というのは大事になってくるというふうに思っております。ですから、この平仮名の「まちづくり」についてと「心の豊かさを実感できるまちづくり」について、再度ご見解をお伺いしたいと思います。
 

〈まちづくり担当部長答弁〉

 大串議員の再質問にお答えいたします。
 まず1点目、平仮名の「まちづくり」ということでございます。我々が意識しておるのは、まさにその平仮名の「まちづくり」でございます。都市計画というハードの整備、これは、とりもなおさず、その上で動くソフトのことを意識しながらのハード整備でございます。したがって、心の豊かさ――ああ、それは2番目の質問でございますね。(発言する者あり)その上での教育、福祉、さまざまな課題といったものが、その基盤の上に成り立つというふうに思っておりますので、そう、ソフト、ハード、包含して、まちづくりだというふうに申し上げてよろしいんだろうと思います。
もう一点は、何だっけ。何だっけ。心の豊かさでしたっけ。ね。心の豊かさは、もちろん、もちろんそこが我々の目指すべき、人として、(発言する者あり)目指すべき方向性でございます。
 先ほども申しましたが、基本は安全・安心の基盤があって、それで初めて、その上で、さまざまな文化活動、教養活動等々も通じながら、心の豊かさというものを醸成していくんだろうというふうに思います。これも、最初の答弁と同じになりますが、その基盤と、その上で動くさまざまな人間活動、それを総じてまちづくりと言い、心の豊かさの醸成をしていくものというふうに捉えております。
 

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