29年第2回定例会での代表質問

 



千代田区「地域福祉計画2016」を掲げて

提唱された新しい福祉の概念「絆を幾重にも重ね合わせる福祉」の実現を訴える
 

〈質問通告〉

■地域包括ケアシステムの構築に向けて
急速な高齢化が進んでいる。住み慣れた地域で尊厳を持って暮らし続けるために「地域包括ケアシステム」の構築が急がれる。地域包括ケアシステム構築に向けての基本的な考え方は。また現状はどこまでできているのか。
住まいとしてのサービス付き高齢者住宅の設置にあたって区の考え方は。
区営住宅、高齢者優良賃貸住宅(こもれび)(地域優良賃貸住宅)にお住いの方も高齢化が進んでいる。サ高住同様の仕組み考えていくべきでは。

■防災リーダーの育成について
平成25年の災害対策基本法の抜本的な改正が行われたがその趣旨は「行政主体の防災対策」から「住民主体の防災対策」へであった。防災リーダーの育成は喫緊の課題である。そこで、防災リーダーとしての防災士育成を提案する。ご所見は。
地区防災計画策定への支援は。
町会などの自主防災組織と事業所、PTA等地域団体が連携して防災活動をする(仮称)地域防災協議会の設置を提案する。ご所見は。
 

〈質問原稿の全文〉

 平成29年第2回定例会にあたり公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問の趣旨は、一つは、高齢化が急速に進む中、高齢者の方がどうすれば住み慣れた地域で尊厳を持って暮らし続けることができるのか。そのカギともいえる地域包括ケアシステムの構築とサービス付き高齢者住宅の設置について区の考え方を問います。もう一点は、「住民主体の防災対策」の推進について防災士の養成を提案するものです。
 最初に、地域包括ケアシステムの構築についてであります。
 この3月に千代田区地域福祉計画が策定されました。(現物を提示)地域包括ケアシステムの構築を視野に入れてのものになっています。計画策定委員会委員長である大正大学准教授の坂本文武氏は「計画によせて」で以下のように述べられています。「この計画は、困難に直面している一部の人を、それ以外の人、主に行政が援助するという従来型の『福祉的な』発想だけに立脚していません。他者から必要とされ認められる実感を持ち『少しでも楽しく生きる』ための公式、非公式の人とひととの関りを新たに紡ぎだす、広義の福祉の概念を基盤にしています。支援する人と支援される人のような二項対立で捉える時代は過去のものです。自身の健康や暮らしぶりに多くの人が不安や不調を抱える時代。多少はあれども、誰もが一定の『生きづらさ』を抱えて生きている時代だからこそ、弱い絆を紡ぎ合い、それを幾重にも重ね合わせることで、そこに安心感を生み出すことができると考えています。その安心はやりたいことに近づく一歩を踏み出す勇気を与えてくれると信じています」と。計画全体を貫いている考え方であり、また新しい福祉の概念を提唱したものと理解しています。私もこの考え方に賛成です。
 さて、「地域包括ケアシステム」とはどういうことなのか、改めて確認しておきたいと思います。社会福祉士で介護ライターの宮下公美子氏は、地域ぐるみで高齢者を支えていく仕組みのことであり、日常生活に支障が出ても住み慣れた地域でできるだけ長く暮らし続けられる仕組みであるとし、以下のように述べています。「ここで、しっかり意識しておかなくてはならないのは、この仕組み、まちづくりは待っているだけでは出来あがらないということです。これは、行政が中心となって動くだけでなく、街で働く専門職も街で暮らす住民も一緒になって自ら動いて作っていくものなのです。みんなで作る『地域包括ケアシステム』のあり方に唯一絶対の正解はありません。それぞれの街によって街の特色が異なるように必要なしくみも異なります。『地域包括ケアシステム』は試行錯誤しながら自分たちの暮らす街にふさわしいしくみにしていくことが大切なのです」と。(「埼玉・和光市の高齢者が介護保険を卒業できる理由」宮下公美子著より)待っていてはできないこと。みんなで作ること。地域包括ケアシステムのあり方に唯一絶対の正解はないこと。まったくその通りであります。
みんなで作るためには、行政の強いリーダーシップと明確な方針を広く示していかなくてはなりません。事業者(専門職)の方も区民の方も何のための地域包括ケアシステムなのか、どういう地域包括ケアシステムを目指すのかという方針(考え方)を共有できなければみんなで作ることができないからであります。建物ができればなんとなくできたように思いますが間違いです。むしろこれからがシステム構築に向けての本番なのです。
 具体的にケアシステムを構築するにあたっての前提と方針(考え方)についてです。
ケアシステム構築の前提として介護保険制度の理念をまず正しく理解していただくことが必要です。介護保険制度は、利用者自身も努力することによって少しでも健康になり、その人らしい自立した生活を目指す制度であること。(法第1条、及び第4条)その考え方のもとでの「自己決定」であり、「利用者本位」であること。(法第2条の3)そして、介護保険サービスは状態に応じて必要な分だけ利用することが基本であること。これらの点を区、介護事業者、そして区民の方が共有できなければ介護サービスを使って心身の状態を良くしようという方向にならず漫然とサービス利用が続くことになってしまうからです。
 次に方針ですが、例えば、@この介護保険制度の理念を実現するためには、「介護予防」と「自立支援」が柱となりますが、そのことを方針(考え方)として明確にし広く示してはどうでしょうか。Aまた、在宅(居宅)でのサービス基盤整備が必要なこと。これ以上は在宅では無理という在宅限界点を高めるサービス基盤の整備です。施設にあって在宅にないものを整備するという視点からの基盤整備をしっかり行っていくことも極めて重要であり方針としてはどうでしょうか。他にもあると思いますが、区として、何のために、また何を目指して地域包括ケアシステムを構築するのかという方針(考え方)を明確にし、広く示していくべきと考えます。
 介護保険制度を正しく理解してもらうことや区の方針(考え方)を事業者にも区民の方にも説明し理解していただくためには個別に訪問しての説明を根気強く続けることも必要でしょう。また、小さな単位での説明会や勉強会、また講演会やシンポジウムの開催も考えられます。先の坂本氏や宮下氏に依頼するのも良いと思います。
 坂本氏の提唱された「絆を幾重にも重ね合わせるような福祉」とてもすばらしい言葉です。千代田区の地域包括ケアシステムを含む福祉の基本としたいような言葉です。まさに「新しい福祉」の概念であります。是非実現していきたいと思います。
そこで、地域包括ケアシステム構築にあたっての区の方針、考え方をお伺いします。また、介護保険制度を正しく理解していただくことについてのご所見も合わせてお伺いします。

 次に、サービス付き高齢者住宅の設置についてであります。
 高齢者の居住の安定確保に関する法律、いわゆる「高齢者住まい法」は平成23年に改正されました。その目的は急速な高齢化に対応するため、医療、介護、住宅が連携した安心できる住まいの供給促進にあります。具体的には、それまで高齢者の住宅は種類が多く複雑でしたが高齢者専用賃貸住宅(高専賃、高円賃、高優賃)を廃止し、サービス付き高齢者住宅いわゆるサ高住に一本化したことです。サ高住は住宅としての居室の広さや設備、バリアフリーといったハード面の条件とソフト面としてはケアの専門家による安否確認や生活相談の提供が設置の条件となっている住宅です。
 ソフトということでは、住まい法の改正と時を同じくして翌平成24年の4月より「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスが地域密着型サービスの一つとして新たにスタートしたことがあります。(図1を提示)要介護の高齢者を対象に日中、夜間を通じて、訪問介護と訪問看護を一体的に利用でき、その介護や看護の入るタイミングとしては定期的な巡回訪問と必要になったその都度来てもらう随時の対応の2種類があります。ちなみに、利用料金は表にもある通り「出来高払い制」でなく介護度に応じて決まる「月額包括性」ですので何度利用しても料金は変わりません。(図1を閉じて図2を提示)
 国では、サ高住とこの「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスの組み合わせを「理想のモデル」としています。施設と比べると、サ高住は、高齢者にとって生活の自由度が高く保険者にとっては財政負担が小さいということになります。その分、入居者の負担軽減となるような補助の仕組みをしっかりつけていけばサ高住は住み慣れた地域で暮らし続けることができる救世主的存在になると思います。(図2を閉じる)
 そこで、サービス付き高齢者住宅の設置にあたって、ハード、ソフト合わせての区の考え方をお伺いします。

 次に、区営住宅や高齢者優良賃貸住宅における見守りと生活相談についてであります。
 区の高齢者住宅には、住宅の完成入居と同時に生活協力員が配置され、24時間365日見守りと生活相談が行われています。その第1号は平成7年のいきいきプラザに併設された一番町高齢者住宅です。(図3を提示)区の高齢者住宅一覧です。サ高住と同じ仕組みが当初より用意されています。区営住宅は載っていませんが松下住宅を入れて12棟あると思いますが高齢者の方もたくさんお住いです。区営住宅は当然ここには載っていませんが、現在松下町住宅も入れて12棟あると思います。これら区営住宅もにも高齢者の方はたくさんお住いであり、高優賃にお住いの方も含めて高齢化が進み介護度も上がっているのが現状です。(図3を閉じて再び図2を表示)           
 最近では連休も多くなってきました。「こもれび」にお住いの方からは、 普段の日は談話室で皆が顔を合わせお互いの安否の確認やちょっとした相談もできますが、休みの日は生活協力員の方もいなくなりますのでどうしても部屋に閉じこもりがちになります。また、先日区営松下町住宅に入られた高齢者の方からは、移ったばかりだからかもしれませんが、「身近に相談できる人がいてくれたら安心なんだけど」と話しています。(図2を閉じる)キーワードは「顔を合わせられる」また「身近に」という言葉です。高優賃は民間ではありますが、区の関与している高齢者住宅ですので区の高齢者住宅同様の「顔を合わせられる」「身近な」仕組みを用意してはどうでしょうか。
 そこで、高齢者の方がお住いの区営住宅や高齢者優良賃貸住宅についても見守りと生活相談の仕組みをつくることを提案します。ご所見をお伺いします。

 次に、防災リーダーの育成についてであります。
 東日本大震災の教訓を受けて、平成25年に災害対策基本法の大幅な改正が行われました。過去最大の改正が行われたといわれています。改正の一点目は、「住民主体の防災対策」の促進が基本理念として第2条の2に加えられたこと。もう一点は、これも新設ですが、「地区防災計画」制度が第42条の3に定められたことです。さらに、この地区防災計画を区市町村の地域防災計画に反映させることができる「計画提案制度」も同時に定められたのです。まさに画期的な法改正となりました。
 先日4月22日、NHKニュース「おはよう日本」で、さいたま市の取り組みが紹介されました。内容は、首都直下地震などに備えて「地区防災計画」の策定を市民主体で進めようというものです。市には自主防災組織が788ありますが、計画が策定できたところは4つにとどまっていることから、防災士の資格を持つ市民280人をこの6月より派遣し地区防災計画策定の後押しをしますと。
 私は、さいたま市防災課を訪ね課長から防災士養成についてお話を聞きました。
 防災士ということでは、たまたま私もこの4月に防災士の資格を取りました。一ツ橋の日本教育会館で養成研修は行われました。そうそうたる方々が講師を務め講座を担当してくれています。本当に参考となりました。参加されている人は若い人から高齢者まで幅広く皆さん志の高い人ばかりでした。資格を取得した後もこのつながりは大切にしたいと思ったのは私だけではないと思います。しかし、残念なことが一つあります。それは研修費用が6万円と高いことです。志や思いはあっても経済的な負担からあきらめてしまう人も多いのではということです。
 さいたま市ではどう防災士を養成し、どのような活動をしているのか大変興味がありました。
 説明では、さいたま市で250か所ある避難場所の運営訓練(千代田区でいう避難所運営訓練です)を市民主体でできないかということから市の予算での防災士養成がスタートしたこと。平成21年から24年までの4年間で500名の防災士が誕生し、その方々を市の防災アドバイザーとして改めて認定したこと。各避難場所運営協議会へ派遣したことによりアドバイザーを中心に訓練のための協議会が3回から5回開催され市民が主体となっての避難場所運営訓練がすべてで行われたとのことです。「次は、地区防災計画です」と自信をもって話されていました。(図4を表示)この図は、その時の資料「再編成後の防災アドバイザーの活動について」にあった図です。アドバイザーの方には地区防災計画策定ガイドの勉強会やプレゼンの方法、ファシリテーター講習なども行いStep3の講師となれるよう市は側面から支援するそうです。どうしても講師は無理という方にはサポーターとなっていただきます。運営訓練同様必ず計画策定も成功すると思います。(図4を閉じる)
 お隣の港区も地域の防災リーダーとしての防災士養成に積極的であります。港区では、防災士養成講座を港区内にある防災士研修機関に委託し区の事業として開催しています。区民や在勤、在学の方の研修費用の負担はありません。ただし、在勤、在学の方の申込みには条件を設けています。区内の消防団や防災住民組織、地域防災協議会、駅周辺滞留者対策推進協議会などいずれかに加入していること。または、区と災害時協力協定を結んでいる事業者となっています。平成32年までに1000人の防災士を養成し、区内231ある防災住民組織それぞれに最低3〜4名の防災士が配置されている状態を目標としています。年3回の養成研修を行っていますが、どの回も定員いっぱいで昨年度も200名の防災士が誕生しています。
 港区では、防災士の役割を地域防災計画に明確にしています。地域防災計画の「区民等の防災行動力の向上」の章、「防災知識普及計画」の項には「防災士の資格取得支援や防災学校を通して、地域の防災リーダーを育成します」と。また「防災住民組織の育成」の項には、「防災士を育成し、地域の防災リーダーとして防災住民組織や防災協議会の防災活動に参加し、地域の防災行動を支援します」と。
 さいたま市も港区も共通して強調されていたことがあります。それは、資格の取得そのものが目的化しないようにとのことです。「何のために資格を取得するのか、すなわち事業の目的やビジョンを十分理解していただいた上で資格を取得していただいています」と。大事な指摘であります。
さいたま市と港区の例を紹介させていただきました。
 地域で顔のわかる防災士の方から「私たちでまちの防災訓練をしよう」、「地区防災計画づくりに挑戦してみよう」と呼びかけられることは、区の職員から言われるのとはまったく意味が全く違ってきますし、地域に顏のわかる防災士の方がいて防災リーダーとして一緒に活動されることは「住民主体の防災対策」に必ずつながることと思います。
 そこで、区として、地域の防災リーダーとして防災士の養成を提案します。ご所見をお伺いします。
ちなみに、現在、防災士養成研修の費用を助成している自治体は全国で300を超えています。23区ではご紹介した港区を始め、目黒区、新宿区、足立区、江東区、中野区、文京区、世田谷区の8区であります。今年の5月現在、全国での防災士の数は13万1079人となっています。

 次に、地区防災計画策定への支援についてであります。
 災害対策基本法に新たに「地区防災計画」制度設けられたことは述べました。住民主体の防災対策の一つは地域の防災リーダーの育成であり、もう一つが、地区防災計画の策定です。地区防災計画の特徴は以下の5点です。
@ 一点目は、地域コミュニティ主体のボトムアップ型の計画であること(主体性・率先性)
A 二点目は、地区の特性に応じた計画であること(密着性)
B 三点目は、災害時要配慮者対策を位置づけること
C 四点目は、継続的に地域防災力の向上させる計画であること(日常性)
D そして、最後に計画策定の作業や日常の防災活動を通して地域を守る共同体意識や連帯意識が生まれ新たなコミュニティの形成につながる(連帯性)
 すばらしい特徴であります。コンサルに委託して作成する計画では絶対にできないものです。地区防災計画策定へ区として考えられる支援としては、防災士養成は一番ですが他には、わかりやすい地区防災計画策定ガイドの作成や行政の持っている災害に関する情報の提供、また職員の持っているノウハウの提供などが考えられます。
 そこで、住民の主体的な地区防災計画策定へ区はどのような支援を行っていくのか、お伺いします。

 最後に、(仮称)地域防災協議会の設置についてであります。
 近年、高齢化や自主防災組織への加入率の低下等により地域の防災力が低下しています。昼間人口の多い千代田区では、事業所の防災対策や区民と事業者の連携強化は大きな課題であります。よって、避難所運営協議会の範囲かもしくは小学校区を基本に、自主防災組織である町会を始め事業所、PTA、マンション管理組合等を構成員とする(仮称)地域防災協議会を設置し、平時から連携できるようにしてはどうでしょうか。具体的には、災害時の防災活動及び平常時の防災訓練や地域の防災に関する情報の収集と交換、勉強会の開催などです。また、協議会への区としての支援は、災害時に地域が主体となって自主的な防災活動ができるように各地域の特性に合わせた実効性のある組織とすることを基本に行うことであります。力を三つ合わせた協助を条例に謳った千代田区として必要な協議会であります。
 そこで、(仮称)地域防災協議会の設置を提案します。ご所見をお伺いします。

 以上、地域包括ケアシステムの構築にあたってと地域の防災リーダーの育成について質問を行いました。
 区長、並びに関係理事者の前向きな答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。ありがとうございました。

参考資料
・千代田区地域福祉計画2016
・「埼玉・和光市の高齢者が介護保険を卒業できる理由」宮下公美子著 東内京一監修
・「高齢者住まい種類の選び方」高齢者住まいアドバイザー協会著
 

ホーム ] 上へ ]