30年第3回定例会での代表質問


尾張旭市の「子ども防災手帳」を提示して

 

〈質問の全文〉

 平成30年第3回定例会にて公明党議員団を代表して質問を行います。
 質問に入る前に、この夏の西日本集中豪雨、台風21号、また大阪北部地震そしてこの度の北海道東部地震において、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表します。また、被害にあわれた方々に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。
 さて、質問の趣旨であります。この夏は「命に関わる猛暑」、そして「集中豪雨」また「巨大な台風」などの異常気象が連続して発生しました。その原因は、地球の温暖化と都市部のヒートアイランドにあると言われています。私たちは次の世代、またその次の世代のために更なる対策を講じていかねばなりません。そこで、区としての温暖化対策そしてヒートアイランド対策を改めて問うものです。また、気象災害の他にもいつ起きてもおかしくない地震があります。改めて、区民の命を守るための防災・減災対策はいかにあるべきかを問うものです。
 最初にお示しするのは、「世界大都市の自然災害危険度指数」であります。


出典:平成16年防災白書

 ミュンヘン再保険会社のアニュアルレポートに基づき内閣府が作成し平成16年の防災白書に掲載されたものです。リスク度は、東京・横浜が710であり、次がサンフランシスコの167ですからいかに東京のリスク度が飛び抜けて高いかがわかります。この指数の出し方ですが、災害度(災害発生確率)×脆弱度(災害への備え)×危険度(都市の集積度)で表されそれぞれ10段階評価となっています。東京は10×7.1×10で710です。(図1を閉じる)東京としては脆弱度の指数を下げること、つまり防災力をいかに高めていくのかが課題となっているのです。ミュンヘン再保険会社は今から14年も前にこのことを指摘し東京にその対策を求めていたのではないでしょうか。

 最初に、温暖化対策についてであります。
 例えば、地球温暖化の影響で、日本近海の海水温がかなり高くなっていることがあります。海水温が上昇しているため、ひとたび台風が発生した場合は勢力を保ったまま、もしくはさらに勢力を増しながら上陸してくる傾向が強くなっています。今年の台風21号もそうでした。台風の巨大化であります。
 また、環境省に「クールチョイス」という動画サイトがありますが、「2100年未来の天気予報」が配信され話題となりました。これは、このまま温暖化対策を何もしなければ、東京は44度になりますと警告を発したものです。今年の夏でさえ「命に関わる暑さ」でした。実際7月だけでも熱中症で133名の方が亡くなられています。
 温暖化対策は待ったなしの新たな段階を迎えています。
 温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減を目的とする「緩和」策と気候変動の影響による被害の回避と軽減を目的とする「適応」策の二つが必要であるとされています。いわゆる「緩和」と「適応」です。
 世界では、2015年12月12日、パリにおいて国連気候変動枠組条約の締約国196か国・地域のすべてが参加して作り上げた内容が「パリ協定」として採択されました。(COP21)その内容とは、「2100年の世界の平均気温の上昇を2度よりも十分低く、できれば1.5度以内とする。そのために温室効果ガスの排出を正味ゼロにする」というものです。
 この「パリ協定」について、環境省の元官僚で現在「環境文明研究所」所長の加藤三郎氏はこう述べています。「過去2世紀ほどの都市・工業文明時代を大転換する画期的な出来事だ。なぜなら、パリ協定のエッセンスは、今世紀後半に温室効果ガスの排出と吸収を均衡させ実質ゼロとすることを国際社会が一致して合意したことで、これは協定以前の『低炭素』ではなく『脱炭素』(脱化石燃料)を目指すことに世界が踏み出したことを意味するからだ。(中略)今日、社会を動かすエネルギー源の9割近くを化石燃料が占めていることを考えると、短期間で実質ゼロにするのは、従来のやり方では困難である。しかし、世界中で気候変動が激しく、甚大な被害が発生している現実と将来はさらに厳しくなるという科学界からの予測と警告とに対応した結果がパリ協定の合意である」と。
 世界の温暖化対策の「緩和」と「適応」の基準と根拠がここにできたのです。
 日本は、2016年パリ協定に批准し、本年6月には気候変動適応法が全会一致で可決成立しました。これは、気象災害への防災を始め、健康や生態系など様々な分野への気候変動の影響に対して日本社会が計画的に備えていくことを目標としたものです。国ではすでに平成27年に「気候変動の影響への適応計画」を策定していますが、法定計画となり実効性を高めることになりました。地方自治体には努力義務として適応計画の策定を促し、気候変動の影響のうち何が深刻であり、それにどう備えるかは各地域の地理的特性や社会的特性によって大きく異なるため自治体の役割は重要であるとしています。
 千代田区では、2015年に策定した「地球温暖化対策地域推進計画」がありますが、その後、述べましたようにパリ協定も発効され、国内では法律も制定されました。よって、温室効果ガスの排出削減へ「脱炭素」へのビジョンを明確にし現計画をバージョンアップしてはどうでしょうか。(緩和)また、気候変動の影響への備えとしての防災・減災のあり方をどうするのか、千代田区の特性を踏まえた実効性ある計画を気候変動適応計画として新たに策定すべきであります。(適応)
 そこで、区長に温暖化による気象災害が激化していることを受けて、区の温暖化対策をどう進めていくのか、基本的な考え方をお伺いします。
 また、これまでの温暖化対策についてですが、何を目標としどこまで達成できたのか。また、今後ですが、温暖化対策の大きな転換があったことを受けて現計画の更新はどうするのか。そして区として気候変動適応計画はどのようなものになるのかお伺いします。

 次に、ヒートアイランド対策についてであります。

出典:平成18年作成の「千代田区ヒートアイランド対策計画」

 これは、100年間における「東京の年平均気温の推移」です。13.5度から16.6度へ3度上昇しています。同じ期間、世界の年平均気温は1度の上昇となっていますので、3度上昇の内1度が温暖化によるもので、2度は東京特有のヒートアイランドにその原因があるとされています。(国立環境研究センター副センター長の江守正多氏より)
 (平成18年作成の「千代田区ヒートアイランド対策」の現物を掲げて)
 平成18年5月作成の「千代田区ヒートアイランド対策」です。計画ではヒートアイランドの原因として@緑地や水面の減少による蒸散効果(水蒸気として発散すること)の減少、A地表面の人工化(建築物やアスファルト舗装の増加)、B自動車や冷暖房使用等の人工排熱の増加、C高層ビル等の乱立、密集化による風の流れの妨害の4点であることが示されています。
 区は、7年から8年ごとに「緑化とヒートアイランドの現状について」、



出典:平成18年作成「千代田区ヒートアイランド対策計画」

 みどりの分布と熱分布を調査し公表しています。調査の目的は、緑と熱の関係及び熱と土地利用の関連性を調べ有効な対策へつなげていくことにあります。みどりの分布いわゆる緑被率を公表している自治体は多くありますが、熱分布まで示しているのは千代田区のみであるとのことです。欲を言えば、もう一つ、風がどこをどう流れているのか、風の道分布調査も加えてくれればさらに良いものになると思います。本年はその8年目にあたり現在調査が進められているそうです。調査と対策をセットにして計画を更新していること大いに評価いたします。しかし、計画の方は平成18年作成のものが最後となりました。計画は温暖化対策地域推進計画の中に入ることになったためです。書き込むページも限られ、調査分析したものがどう対策に反映されたのか、またどのような成果につながったのかがわかりません。例えば、18年計画で示された人工排熱の改善策としての「都市排熱処理システムの供給開始」や歩車道の保水性舗装をセットで行う「クールロード」。また公園への高木植栽などであります。調査とセットとなっているヒートアイランド対策計画でありますので温暖化対策の計画とは別に作成すべきであります。
 勿論、ヒートアイランド対策は千代田区のみで行っても限界があります。しかし、東京のヒートアイランド対策をリードすることはできます。温暖化対策のパリ協定と同様、例えば、東京の全区市町が参加して100年後のヒートアイランドによる気温の上昇を何度以内にするという目標を定めて進めてはどうでしょうか。野心的な「ヒートアイランド対策計画」を持っていればそのリード役を千代田区が十分果たすこともできると思います。
 そこで、区として今後のヒートアイランド対策をどう進めていくのか、基本的な考え方をお伺いします。また、調査とセットとしたヒートアイランド対策計画の作成についても合わせてご答弁ください。

 次に、ヒートアイランド対策に関連して、「千代田区みどりの基本計画」と「まちづくりグランドデザイン」についてであります。
 「みどりの基本計画」及び「都市計画マスタープラン」は平成10年3月に時を同じくして策定されました。また、5年後の平成15年にはその両方の計画を補完する「まちづくりグランドデザイン」が作られます。概ね20年先のまちの将来像をこの2つの計画と1つのデザインをもって描いた のです。何を目指したのか。私は、都市の過大化(膨張)を抑えることにあったのではと考えています。そう考える理由は、

出典:千代田区緑の基本計画

 みどりの基本計画では「緑心・都心千代田」をテーマとし「区内のみならず東京都全体に向けた自然を運び、緑と水を主役とする構造的なネットワークの形成を進めます」としたこと。「緑の将来像」であります。(図5を閉じて図6を表示)



出典:千代田区まちづくりグランドデザイン

 グランドデザインでは、緑の基本計画で示された「緑の将来像」を補完して「水と緑の骨格」と「風の通る道」を示したこと。そしてマスタープランでは、将来像として、「機能性や効率性、経済性を重視するまちづくりからゆとりや快適性など生活の質を重視するまちづくりへの転換を進め、心の豊かさを実感できるまちとしていきます」と記述されたことです。つまり、千代田区から緑の道と風の道を東京都全体へ広げ、もって過度に機能性や効率性、経済性を重視した都市の膨張を抑えようとしたのではないでしょうか。またそのことは同時に都市のヒートアイランドの抑制を目指したものともなったのです。
 これらのことからすると、現在の都市マス改訂に合わせ「緑の基本計画」も「まちづくりグランドデザイン」もそれぞれ目的を明確にしてバージョンアップを図ってはと考えます。気象や地理に関する分析技術も今は格段に進歩しています。より精度の高いものが作成可能となっています。
 そこで、「緑の基本計画」の果たしてきた役割と今後の展望をお伺いします。また、「まちづくりグランドデザイン」についても今日までの評価と今後の改訂についてお伺いします。

 次に、防災・減災対策についてであります。

出典:2011年3月23日朝日新聞の夕刊

 これは、3.11東北大震災の時の宮城県七ヶ浜町の例ですが、リーダーの「一瞬の機転」が高齢者60人を救ったとの記事です。電話ですが、町の担当課長からお話を聞くことができました。「花渕浜(はなぶちはま)地区で、住民でもありました東北学院大学地理学教授の宮城豊彦氏のアドバイスも受けながら2006年から2007年にかけて津波ハザードマップを作成しました。班ごとに白地図に行政の指定した避難所の他、自分たちで考えた一時避難所や土石流など危険なところを記入していきました。また、避難所訓練も毎年行い、その都度防災座談会も行いました。ハザードマップを皆で作成したことが地域をよく知ることにつながり、新聞にある『一瞬の機転』につながったのです」と。(図7を閉じる)すばらしいと思います。リーダーだからとか自治会長だからできたのではありません。マップの作成に主体的に携わったからです。携わった全員がいざという時の「一瞬の機転」を働かせることができるということであります。そのことがまさに防災力の向上であります。釜石の奇跡もそうでしたが七ヶ浜町でも住民主体の防災が住民の命を守ることになったのです。
 このマップの作成ということでは、東北大震災の教訓を生かして2013年に災害対策基本法の改正があり「地区防災計画制度」として新たにスタートしています。昨年の第2回定例会にて、住民の方が主体的に地区防災計画の作成ができるよう支援すべきと質問しました。計画作成には七ヶ浜町でいえば宮城氏のように、ファシリテーター的な役割を果たす存在が必要です。この点、今年度より区民を対象とした防災士資格取得への補助制度ができたことは大いに評価いたします。
 七ヶ浜町もそうであったように、地区防災計画は、住民自ら作成する行動計画であり、自分の地域で起こりうる災害、発災時にとるべき行動について多くの住民が参加して主体的な議論を経て作成することが肝要です。よって、行政は、計画作成それ自体を目的とするのではなく、災害時に誰もが「一瞬の機転」を働かせることができるよう作成の過程を大事にした支援を行っていくべきです。支援として考えられることは、@誰にもわかりやすい「地区防災計画作成ガイド(作成の手引き)」の作成、A職員の持っているノウハウや情報の提供、B作成のためのファシリテーター派遣、C町会や自主防災組織を対象にした印刷費やマップ作成に関わる費用の補助などが考えられます。
 宮城県七ヶ浜町の例を紹介し、住民の主体的な防災が住民の命を守ることについて述べました。
 そこで、何をもって災害から区民の命を守るのか、区長に防災・減災対策の基本的な考え方をお伺いします。また、住民が主体的に地区防災計画を作成できるよう区はどのような支援を行っていくのかお伺いします。

 次に、一人では避難できない高齢者や障害者など避難行動要支援者をどう守っていくのかについてであります。
 大阪府豊中市の例を紹介させていただきます。この6月に起きました大阪府北部地震の際、豊中市では要支援者全員の安否確認を発災からわずか4時間で完了したとのことが記事となりました。新聞でこのことを知り、さっそく議員団として視察に行ってまいりました。地域福祉課と危機管理課のお二人の職員の方から2点の説明を受けました。一つは市の「地域福祉計画」であり、二つ目が「防災・福祉ささえあいづくり推進事業」です。
 地域福祉計画では、重点事業の一つに「災害時要援護者対策」を位置付け、まず「平常時と災害時が連動した実効性ある支援体制の構築」を目指したことです。そのポイントは住民の各校区福祉委員会及び民生委員などが日常の活動を地道に行っていることでした。「どうして住民の方々がそのように主体的に活動できているのですか」と聞くと、「阪神淡路大震災を経験したことが大きな理由です。いざという時を経験しているから自分たちで行うという姿勢が身についています。今回の安否確認も私たちが指示する前に自主的にスタートしていました」と。
 「防災・福祉ささえあい推進事業」は、旧「災害時要援護者安否確認事業」を災害対策基本法の改正後、拡充したものです。具体的には、@名簿登録要件を増やし拡充したこと、A支援者の範囲も増やしたこと、B安否確認のみならず避難誘導、避難支援まで行うようにしたことなどです。41校区すべて約3か月かけて説明に回ったそうです。この事業のポイントは、平時の体制構築、訓練、関係づくりなどが、いざ災害時には安否確認、避難支援、避難誘導という関係となることです。平時のつながりの強さが即防災力の向上になるというものです。



豊中市社会福祉協議会より提供

 これは豊中市の泉丘(いずみがおか)校区福祉委員会の方々が安否確認実地訓練を行っているところです。新聞には、市の社会福祉協議会福祉推進室長のコメントが載せられています。「訓練を重ねるとともに要支援者とのつながりを作ってきた努力が、いざという時に発揮された。顔の見える関係を築いてきたからこそ、支援者もわがこととして要支援者を心配し確認に走り回れた」(9月18日の公明新聞より)と。防災とは何か、要支援者をどう守るのかの答えがまさにここにあるように思います。
 高齢者社会の平時であれば間違いなく福祉施策ということですが、いざ災害が起こると、それまで進めてきた防災・減災対策になるという関係を是非とも千代田区でも構築していきたいものです。
 そこで、避難行動要支援者を守ために、区として「平時は福祉、災害時は防災」という関係をどう構築していくのか改めてお伺いします。また、千代田区版の「防災・福祉ささえあいづくり推進事業」の実施を提案します。ご所見をお伺いします。

 最後に、子ども防災手帳の作成についてであります。
(尾張旭市の子ども防災手帳の現物を提示)

尾張旭市のホームページより 市の「子ども防災手帳」

 これは、愛知県尾張旭市が作成している「子ども防災手帳」です。小学生の1年生から3年生用と、4年生から6年生用があります。
 子ども防災手帳を作成しているところは、港区や大和市、船橋市など多くあります。いずれも完成版を配布するものですが、尾張旭市の子ども防災手帳は親子で対話し、一緒に考えながら作成していくのが特徴です。クイズを解きながら考えを巡らせます。地震や台風の時に、どう行動すべきかをイラストやクイズを使って楽しく学べるよう工夫されています。尾張旭市では、小学校での避難訓練の事前学習の際にもこの手帳を使いいざという時の姿勢を学ぶそうです。(図9を閉じる)大変すばらしい子ども防災手帳であります。
 そこで、親子で対話しながら防災意識を高めていく、千代田区版の「子ども防災手帳」の作成を提案します。ご所見をお伺いします。

 以上、温暖化対策及びヒートアイランド対策について、また防災・減災対策について質問しました。区長並びに関係理事者の前向きで積極的な答弁を期待し、公明党議員団の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。

〈区長答弁〉(答弁は未定稿)

 初めに、大串議員の地球温暖化対策の基本的な考え方に関するご質問にお答えいたします。
 お話しのように、近年、気候変動の影響による自然災害のリスクは増大しております。かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐことは、私たちの世代の重大な責務だろうと思います。そのため、私たち千代田区は、平成19年に、全国で初めてCO2排出量の削減対策目標を掲げた地球温暖化対策条例を制定し、積極的にCO2排出量の削減に取り組んできたことは、ご案内のとおりであります。これは、パリ協定は、各国がそれぞれの立場で、自らプランを立ててつくっていくというパリ協定の精神を、むしろ千代田区のこの条例は先取りをしたというふうに私は思っております。
 議員ご指摘のように、一方では、今年の6月に、気候変動適応法が制定され、地球温暖化の影響が徐々に顕在化する中で、さらに、地域特性に合った対策を進めていくためにも、現行の地球温暖化推進計画を抜本的に見直し、今回の法の趣旨を踏まえて、改めて地球温暖化対策の計画をつくり直さなければならないという時代になっていると思います。特に、法律で、地球温暖化対策は、温暖化の進行を食いとめる「緩和策」と、気候変動による被害を最小限に抑えるための「適応策」を、車の両輪として進めることが大切であるということで、既に国は、27年度に基本計画をつくっております。したがって、そうしたことを踏まえると、新たな地球温暖化に対する計画をつくり変えなければならないということで、少し時間がかかると思いますけど、基本的につくり変えていかなきゃいけないというふうに思っております。

 次に、防災・減災対策の基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。
 一言で言えば、例えば地震の場合ですと、「ふいの地震に、ふだんの用意」ということがございます。自然災害を未然に防止することは困難でありますが、いかに被害を軽減するかということが肝要だろうと思います。
 そこで、いろんな事例を拝見いたしまして、あるいは、大串議員からもご紹介がありましたように、過去の災害の例を見ますと、地域コミュニティが機能したり確立している地域においては人的被害が軽減されているというのが、過去のそれぞれの地域での実例でございます。この地域コミュニティ、防災に関する地域コミュニティという観点で見ますと、地区防災計画というのは、私は、こういう観点でつくるべきだろうと思います。すなわち、現行の地域防災計画は、どちらかというと、行政が防災関係機関と相談をしてつくっている関係です。しかし、地区防災計画は、どちらかというとボトムアップ、地域からの発意でもって防災計画をつくるという意味では、新たなる防災という観点でのコミュニティをつくっていくということになるだろうと思います。したがいまして、我々は、こうした地区防災計画を積極的に推進するために、さまざまな観点でご支援、ご協力をさせていただきたいと思いますし、既に防災士の養成をしておりますので、そうした方々の活用も含めて取り組みたいと思います。
 結果的に、お話がありますように、こうした地域からの発意で地区防災計画をつくっていくことは、平時は福祉、災害時は防災という、そういう機能になってくるだろうと思いますので、これからひとつさまざまな観点から、地区防災計画を積極的につくるように、区政として、さまざまな形で支援をしてまいりたいと思っております。
 それから、大規模災害が予想される場合に、いち早く避難することが重要であるというお話もございました。区としては、タイムラインに応じた避難行動に関する情報を、防災無線やホームページなどで、迅速かつきめ細かく、区民の皆さんに周知をしておりますが、このことを繰り返し繰り返し、さまざまな形で取り組んでまいりたいと思います。加えて、ハザードマップを全区民に配布することにつきましても、自分の地域がハザードマップ上でどう位置づけられているかについての認識をしていただくことも肝要だろうと思います。そういう意味では、地区防災計画というものをつくる中で、そうしたことも十分に議論の対象にしていただくことが肝要だろうと思います。
 招集挨拶で申しましたが、本区としても、被災地に職員を赴かせ、現地を見ていただきまして、被災状況等を的確に把握し、その検証結果に基づき、災害に対する被害を最小限にするための防災・減災対策を総点検し、区の災害対策に反映してまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、地域から地区防災計画をつくっていくという考え方を、これから積極的に進めていきたいというふうに思っております。
 なお、詳細については、関係理事者をもって答弁をいたさせます。
 
〈環境まちづくり部長答弁〉

 大串議員の地球温暖化対策並びにヒートアイランド対策等に関するご質問に、区長答弁を補足してお答えいたします。
 本区では、千代田区地球温暖化対策条例において、「2020(平成32)年までに、区内のCO2排出量を1990(平成2)年比で25%削減」する対策目標を定めております。また、平成27年3月に策定いたしました「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」では、2024(平成36)年度までに、同じく1990(平成2)年比で30.9%のCO2排出量を削減する目標を掲げているところでございます。
 本区におきましては、事務所ビルなどの業務部門のCO2排出量が、区内のCO2排出量の約4分の3を占めているため、建築物の省エネ化が不可欠でございます。このため、既築建築物に対しましては、省エネ設備の導入支援を、新築建築物に対しましては、環境計画書制度により、低炭素建築物への誘導を図るなど、良質な建物ストックの推進に努めてまいりました。特に、新築建築物につきましては、平成28年10月から事前協議制度を導入し、建築計画の初期の段階から、建築物の低炭素化に関する協議を行い、省エネ基準から、原則として35%以上の省エネを達成するよう協力を求めております。CO2排出量削減を推進してきたところでございます。こうした取り組みの積み重ねによりまして、CO2排出係数を基準年で固定した場合、1990(平成2)年に約249万トンでありました区内CO2排出量を、2016(平成28)年には約236万トンまで削減できましたけれども、その削減率は約5.2%という状況でございまして、2020(平成32)年の目標達成は極めて厳しい状況にございます。今後取り組みを検証する中で、これまでの課題を整理し、今後の対応等につきまして検討してまいります。

 次に、「地球温暖化対策の転換を受けた現計画の更新」についてでございます。
 現行の「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」では、「エネルギー利用によるCO2排出ゼロのまち」を将来像と定め、脱炭素につながる理念を掲げてございます。この将来像の実現には、現行計画を着実に推進するとともに、状況に応じた見直しも必要でございます。このため、今般の気候変動適応法への対応とあわせて検討してまいります。

 次に、気候変動適応計画についてでございます。
 地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減などにより、地球温暖化の進行を防止する「緩和策」に加えまして、気候変動の影響による被害を回避・軽減するための「適応策」を並行して進めていくことが必要でございます。このため、「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」では、「地球温暖化の進行に備えた対策の推進」を掲げ、熱中症予防などの適応策についても定めてございます。気候変動による影響は、議員ご指摘のとおり、地域の自然条件等によってさまざまでございますので、適応策につきましても、地域の実情を踏まえた対応が必要でございます。今後、本区における気候変動リスクを分析し、必要な対応を検討してまいります。

 次に、今後のヒートアイランド対策の基本的な考え方についてでございます。
 ヒートアイランド現象は、言うまでもなく、熱中症の増加や都市型洪水の発生など、都市に暮らす人々の健康や生活にさまざまな影響を及ぼしています。主な原因は、人工排熱の増加や地表面の人工化、都市形態の高密度化などとされてございまして、地球温暖化対策と同様、原因に対する緩和策と、現象に対する適応策を講じていくことが必要でございます。区といたしましては、緑化の推進や車道の遮熱性舗装、歩道の保水性舗装など有効な緩和策と、ミストの噴霧を初めとするクールスポットの創出などの適応策を、計画的に推進しているところでございます。こうした対策を着実に進めるとともに、関係機関とも連携し、都市で活動する全ての人々の健康や安心・安全を守ってまいります。

 次に、熱分布調査等とセットしたヒートアイランド対策計画についてでございます。
 議員ご指摘の熱分布調査は、定期的に「夏季の区内の地表面や建物の温度を分析調査する」もので、ヒートアイランド対策の検討と効果検証を行うことを目的としており、本年度が調査の実施年度に当たります。具体の熱分布を把握することは、効果的なヒートアイランド対策を講じていくために大変重要であり、本年度の調査結果につきましても、今後の対策の検討に活用する予定でございます。
 ヒートアイランド現象は、長年にわたる都市形成の結果として生じた環境問題であり、その対策も、長期的な視点に立って講じていく必要がございます。即効性のある画期的な対策を講じる余地が少ないことから、計画の見直しにどの程度反映できるか課題はございますけれども、進め方や関係機関との連携などに関する議員のご意見も踏まえまして、検討してまいりたいと考えます。

〈まちづくり担当部長答弁〉

 大串議員の、緑の基本計画とまちづくりグランドデザインについてのご質問にお答えいたします。
 まず、緑の基本計画についてですが、千代田区には、皇居の内濠、その内側の緑地、旧江戸城の外濠など、我が国を象徴し、23区の自然を支える緑の一大拠点が存在しております。緑の基本計画は、この豊かな緑を保全・充実し、周辺に向けて緑の連続性を創出することを期待し、次世代に継承することを施策の柱としております。また、既存市街地においては、公共空間における緑の確保にはおのずと限界があることから、「都市開発と調和したオープンスペースを利用した緑づくり」も施策の柱としているところです。そうした考えのもと、開発諸制度の活用などにより、これまで約45ヘクタール、区立公園の4倍を超える空地を創出するとともに、事業者の協力も得ながら、可能な限りの緑化を図ってまいりました。
 皇居などの拠点の豊かな緑を守るとともに、こうした市街地における身近な緑の創出にも取り組み、地表面被覆の改善を進め、都市のヒートアイランド現象の緩和にも一定の役割を果たしてきたものと認識しております。現在、改定に向け取り組みを進めている都市計画マスタープランの検討においても、緑のあり方は大変重要な論点であり、その議論を踏まえながら、今後、「緑の基本計画」の改定についても、鋭意検討してまいります。

 次に、まちづくりグランドデザインについてですが、これは、平成14年の都市再生特別措置法制定を契機に、千代田区内で活発化した「都市再生」の動向に対し、長期ビジョンとしての「都市計画マスタープラン」を補完し、当時のまちづくりの動きなどを共有するために策定をしたものでございます。その中には、議員ご指摘の「水と緑の骨格」など、普遍的な内容も示されており、「都市計画マスタープラン」の検討の中で、今後、議論・ご意見を頂戴しながら、必要に応じて継承・発展をさせていきたいと考えております。

〈行政管理担当部長答弁〉

 大串議員の防災・減災対策についてのご質問に、区長答弁を補足してお答えをいたします。
 まず初めに、「地区防災計画」策定についてですが、本計画は、地域からの自主的な発意によって作成されるもので、その作成過程において地域コミュニティの形成につながるものと考えております。策定に当たっての区の支援ですが、区では、今年度から、「千代田区地区防災活動支援事業」を実施しております。この事業は、地域住民等から成る防災組織が主体的に実施する防災訓練や「地区防災計画」の策定に対し、その活動に要する経費の一部を補助することにより、自主防災体制の充実と地域防災力の向上を図っていくものです。
 地域防災力向上のため、この支援事業が「地区防災計画」の策定につながるように、本制度の周知に努めていくとともに、あわせて、防災計画アドバイザーの派遣や、区長答弁にもありました防災士の方にご協力をいただいたり、区の持っているさまざまなノウハウを提供するなど、積極的に、その支援をしてまいります。

 次に、「平時は福祉・災害時は防災」という関係をどう構築していくのかについてですが、本区においても、「地域防災計画」において、要配慮者に対し、一たび災害が発生した際に、地域防災組織や地域住民による協力、連携体制を平常時から確立することとしております。その上で、議員ご指摘の「防災・福祉のささえあいづくり推進事業」として、高齢者見守り活動や生活支援コーディネーターによる「ささえ愛まち会議」、地域福祉を推進する社会福祉協議会の日常的な活動を通じて、「地域丸ごと」の地域づくりを目指しているところです。その際、議員ご例示で出されていた、大阪府豊中市の取り組みは、災害を想定したときに見習うべきモデルであると考えております。区としては、大阪府豊中市の事例を初め、他の事例も参考にしながら、住民、企業、大学など、千代田区にかかわる全ての主体が、要配慮者を支え合える地域を目指し、災害にも強い、安心感のある千代田区の実現に努めてまいります。

 次に、「こども防災手帳」についてお答えをいたします。
 議員ご提案のこども防災手帳は、災害に備えて用意すべき物資や地震・台風のときに、どう行動すべきかを、イラストやクイズを使って説明し、楽しく学べるように工夫されています。また、さまざまなケースで「どうするか」を家族と話し合って記入させることで、完成することとなっており、防災に関する理解が深まるつくりとなっております。
 一方、これに類する防災教育の資料としましては、議員ご紹介の自治体以外にも、東京都教育委員会発行の「防災ノート」などがございます。特に防災ノートは、都内の全児童・生徒に配布され、広く防災教育に活用されており、防災ノートを使った防災教育事業に対して、区で実施する防災訓練も協力をしているところでございます。
 区では、今後の防災の担い手となる子どもたちの防災意識の高揚と人材育成のために、今年度より、「みらいの防災リーダー養成講座」を実施しており、本養成講座に親子で参加していただくことで防災意識の向上を図ってまいります。
 加えて、千代田区の地域特性に合った「こども防災手帳」や「防災ノート」のような家族ぐるみで防災意識を高められるような冊子の作成についても、庁内関係部署と連携しつつ、前向きに検討し、防災教育を推進してまいります。

〈再質問〉

 5番大串ひろやす、1点だけ自宅から――あ、自宅じゃない、自席から再質問をさせていただきます。(発言する者あり)
 パリ協定も発効され、また国内では気候変動適応計画も制定されました。そのことを受けて、千代田区としてはどうするのかって、非常に大事なことなんですけれども、区長はすごく積極的に、これは今までの温暖化地域推進計画を見直すんだと。これはもうぜひ、私も必要なことだと思いますので、お願いしたいと思います。
 この点、ちょっと部長のほうは、ちょっとトーンが、何かこう、「検討してまいります」ようなことで、本当は区長答弁をもっと補足して、もっと具体的に、僕は、答えてくれるかなと思ったら、何か、「検討する」ということなので、ちょっとあれっ、と思ったんですけれども、ぜひ、その点、1点お伺いしたいと思います。(ベルの音あり)それから、ヒートアイランド対策ですけれども、これについては、対症療法的ではなくて、私は、さっきも質問したように、オール東京、東京都全体をリードしていくような、千代田区としてのヒートアイランド対策、これは今まで18年につくっていた計画までは、私、そういうものがあったと思っています。そこに政策も乗せて、またきちんとした検証もして、ああいう熱分布までつくってやってきた。これはぜひ、そういったものを、私は継続してやっていただきたい。そのことをもって、東京全体のヒートアイランド対策を千代田区がリードしてやるぐらいの、そういった決意でぜひ取り組んでもらいたいと思います。
 以上2点です。よろしくお願いいたします。
    
〈環境まちづくり部長答弁〉

 大串議員の再質問にお答えいたします。
 まず1点目の地球温暖化対策地域推進計画。区長が申し上げましたとおり、パリ協定とか、あと適応計画、特に今般は、適応策と緩和策というような新しい考え方も示されてございますので、そうした観点も含めた形で所与の見直しに取り組まさせていただきたいと存じます。
 それからまた、ヒートアイランド対策についてでございますが、先ほども答弁で申し上げましたとおり、ヒートアイランド対策は長年にわたる都市形成の結果として生じた環境問題というふうに考えてございます。したがいまして、千代田区だけでどこができるのかという難しい課題はございますけれども、ただいま議員のご指摘も踏まえた、何らかの形の、千代田区から発信するような対策が講じられればありがたいと存じておりますので、そういった点も含めて、検討に取り組まさせていただきたいと存じます。
 

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